複雑・ファジー小説
- Re: 世界と一緒だから。 ( No.11 )
- 日時: 2012/07/20 09:13
- 名前: 白沢祐 (ID: vGq5J7E8)
- 参照: 学校のパソコより。
【壱話め。 君のためと綺麗事を言う僕を許してください 4】
……そういえば、いつからこの4人で昼食を食べるようになったのだろう。今年の初めは、世界と二人きりだったはずだけど。すこしだけ、思案するように首をかしげると、すぐに思い出した。GWの少し前に、星野が声をかけてきた時に、友人になって時からだ。世界を愛して守るのは僕だけでいいけれど、彼女に同年代の友人も必要だろうと考えた結果、ちょうどいいところにちょうどいい人材の星野が来たんだった。で、彼女の幼なじみの時野も一緒に、4人で昼飯を食べるようになった。まだ、あれから2ヶ月ちょっとしか経っていないのか。
あの時の選択が間違いだったとは、微塵も思っていない。星野はかなりおしゃべりな奴だけど、情報通で話術もあり、なによりも賢い。時野は普段は無口で眠っていることが多いが、いざというときは俊敏に動く。僕にもしものことがあったときに、安心して任せられる心強い奴らだから。本当は、『世界のため』なんてとってつけたような理由は、あいつらには必要ないのかもしれない。
「竜胆くん?」
時野の声で、ハッと我に返る。考え事に集中しすぎていたらしい。悪い癖だ。星野と世界は待ち切れなかったらしく、もうすでに弁当をもそもそと食べ始めていた。時野は、かじりかけのヤキソバパンを片手に、心配そうに僕を見つめている。お前らどんだけおなか減ってたんだよ、なんて心の中で苦笑しながら、ゆっくりと首を横に振った。
「何でもない、大丈夫だよ」
弁当を広げながら、なんとなく気まずくなって「そういえば」とごまかすように口を開いた。時野は、不思議そうに首をひねる。ヤキソバパンの、パンの部分ばっかかじりながら。
「時野って昼飯、コンビニ調達だよな?」
「親が金渡してくるからね。作るのも面倒だし」
「星野に作ってもらったら?」
「だってオワリ、料理ヘタクソだし」
もぐもぐと、ヤキソバパンを頬張りながら時野が放った言葉に、ピシリと星野の頬がひきつったのがわかった。しかし、世界と時野の天然二人は、まったく気がついていない様子なので、僕もそれに便便乗して気がついていないことにしておいた。