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複雑・ファジー小説
- Re: 世界と一緒だから ( No.17 )
- 日時: 2012/07/24 20:35
- 名前: 白沢祐 ◆xoPT2KzXZY (ID: khvYzXY.)
【弐話め。 ごみ箱行きのラブレター 1】
空を見上げれば、鮮やかに澄んだスカイブルーが目に滲みた。この色は嫌いだけど、古びた旧校舎の屋上は、なかなかに過ごしやすい。風が心地良いし、邪魔者もいないし。……ああでも、蝉の音は少しうるさいかもしれないな。
そんなアブラゼミの鳴き声に紛れて、五限目の終わりのチャイムが聞こえた。当然新校舎から聞こえているのだから、少し離れた旧校舎には小さくしか聞こえない。それでも一応聞こえていたので、「あらら、さぼっちゃったね?」なんて意地悪く呟いてみれば、目の前のクラスメイトは顔を青くした。別に、責めてなんかないのになぁ。
「大丈夫だよ、そんなに怖がらないで? 別に、殺そうとしてるわけじゃないんだからさぁ」
笑いながら言うと、クラスメイトの少女が少しだけ力を抜いたのがわかった。なんだかつまらなかったというか、気に食わなかったから「まぁ、場合によってだけどね」なんて付け足すと、少女はまた顔を青くした。いつもみたいに愛想笑いしてるよりも、こっちの方が人間らしくてずっと可愛いと思う。まぁ、あの人以外に興味はないんだけどさ。それでも、こっちの方が楽しいし、いいかなぁなんて。
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