複雑・ファジー小説

Re: 世界と一緒だから ( No.20 )
日時: 2012/07/26 17:41
名前: 白沢祐 ◆xoPT2KzXZY (ID: khvYzXY.)

【弐話め。 ごみ箱行きのラブレター 四】

 声もなく泣く少女に、小さくため息を吐いた。

「しょうがないな……。ボクは優しいから、クイズに不正解だった君のこと、助けてあげる」

 無理矢理笑顔を作って言ってみると、少女はポカンとした表情でこちらを見た。何を言っているの? とでも言いたげな表情だ。涙は止まっている。良かったなぁなんて目を細めれば、少女もホッとした様子で体の力を抜いた。

「じゃあね、ばいばい」

 そんな少女の背中を、力強く押すとあっけなく崩れて、少女の体は青空へと投げ出された。真っ青な空を背に、よくわからない、というように目をまん丸く見開いてボクを見る姿は、とても美しかった。

た す け て

と、少女の口がぱくぱくと動く。ボクは、笑顔のままゆっくりと首を横に振る。
 重力に逆らって、少女の瞳から雫が飛び散っていく。少女は、林檎のように落ちていく。絶望にまみれた顔をして。ボクを信じた自分を悔やみながら。

「助けてあげたじゃん」

 しばらく落ちていく様子を見ていたけれど、飽きてしまったからフェンスから降りる。背後からドサリという鈍い音がしたけど、どうでもいいから早く竜胆さんに会いたい。