PR
複雑・ファジー小説
- Re: 世界と一緒だから ( No.21 )
- 日時: 2012/07/27 13:10
- 名前: 白沢祐 ◆xoPT2KzXZY (ID: khvYzXY.)
【参話め。 オトコノコの事情 1】
「星野、時野……おはよう?」
朝。早く来て眠る習慣のある僕は、いつものように机に伏してうとうとしていると、前の席に人の気配がした。頭を上げてとりあえず挨拶すると、二人はこっちを見た。なんか、酷い顔してる。
「ああ……、久谷か。悪い、気づかなかった」
星野が言う。低く、静かな声のトーン。まるで、何かを必死で堪えているような、そんな声。時野の方は、目深にフードをかぶってうつむいている。かろうじて見える口元は、強く下唇を噛みしめていた。何があったんだろうかと、思わず目を細めた。
「何があった?」
体を起こして、真っ直ぐ二人を見つめる。幸い、教室にはまだ僕らしかいない。世界は、まだ夢の中のはずだ。他の奴らは大抵部活だろうな、と遠くから聞こえる吹奏楽部の演奏に耳をかたむけながら考える。星野は、他人の情報を盗むのは大得意だが、自分の情報はあまり聞かせたがらないから。
「久谷には、話しとくか。いいよな、ハジマリ」
「……ん」
「…………兎崎が、死んだよ」
星野が、小さく小さく呟いた。時野はただ、うつむいている。僕はというと、星野の言葉に困惑していた。
PR