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複雑・ファジー小説
- Re: 世界と一緒だから ( No.24 )
- 日時: 2012/07/30 14:43
- 名前: 白沢祐 ◆xoPT2KzXZY (ID: khvYzXY.)
【参話め。 オトコノコの事情 2】
呆然としている僕に、星野は話を続ける。
「ニュースにはなってない。てか、あたしがさせないし」
星野が、一度言葉を切る。その言葉に、改めて彼女の凄さを知る。一般的な高校生に、メディアをどうこうできる力はない。一般的な高校生なら、だけど。しかし、彼女にはおかしいくらいの人脈とお仕事道具である情報がある。ニュースや新聞にストップをかけることくらい、容易に出来てしまうから恐ろしい。
「昨日の五限目、あの子いなかったでしょ? ……旧校舎からの飛び降りだってさ」
言い終えて、小さくため息を吐いた星野の頭を時野が優しくなでる。時野もきっと辛いはずなのに。
「でもさ、あいつが飛び降り?」
一瞬よぎった、羨ましいなんて思いを振り払うように口を開く。あの、愛想笑いを浮かべることしかできない少女が、飛び降り自殺なんかできるはずがない。僕の、偏見かもしれないけど。
「やっぱり、久谷もそう思うか」
「あずまちゃんは殺されたんだよ。多分、去年からのイジメの主犯の奴に」
時野が、いつもと違う冷たい声ではっきりと言い切る。フードが脱げて、灰色の髪が露わになっている。
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