複雑・ファジー小説

Re: 世界と一緒だから ( No.25 )
日時: 2012/07/31 10:33
名前: 白沢祐 ◆xoPT2KzXZY (ID: khvYzXY.)
参照: 次回新キャラ登場!

【参話め。 オトコノコの事情 3】

「あたしも、ハジマリの言うとおりだと思う。でも、昨日も言った通りだ。その犯人がわかんねぇんだよ! 綺麗に隠されちまってんだ! あたしが、見つけらんねぇんだよ! ……くそっ」

 星野が悔しげに、ギリと奥歯を噛みしめた。静寂が流れる。……僕は、兎崎には興味なんてこれっぽっちもないけれど、彼女を世界に置き換えてみれば星野たちの気持ちは、痛いほど理解できてしまう。大切な友人や大切な恋人を奪われる痛みは、何にも変えがたい。苦しくて、辛い。

「本当はな、怪しい奴の目星はついてんだ。でもそいつ、事件の時はいつも教室にいるんだよ。……そいつってのは」

 星野が名前を口に出そうとした時、タイミングを計ったかのように教室の扉が開いた。星野は驚いてそちらを見て、思い切り顔を歪めた。星野だけじゃない。僕と時野も、それぞれ表情を歪めた。
 時野は、フードをかぶっていないことに気づき、そそくさとフードをかぶって机に伏した。関わり合いになりたくないという態度だ。星野は、憎悪のこもった瞳でそいつを見ている。その表情から、多分怪しい奴ってのはこいつのことだろうと察しがついた。