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複雑・ファジー小説
- Re: 僕の世界と愛情と ( No.3 )
- 日時: 2012/07/29 06:26
- 名前: 白沢祐 ◆xoPT2KzXZY (ID: khvYzXY.)
【零話め。 昔の話を少しだけ 3】
そんな彼女を見ていた僕は? 僕は、何を思っていただろう。……なんて、忘れられたら気楽だったのになぁ。世界の父親に促されて、彼女を見つめた僕。そこにあったのは、美しいものを見て感動する心。それと、愛しさ。オマケに吐き気。あぁ、最悪だ。
僕は、彼女を助けようなんて微塵も思わなかった。ただ、汚されていく世界の布の下から頬を伝う涙を、うっとりと見つめていただけだ。泣く彼女が愛しくて、背筋がぞくぞくした。ああ、そうだね。異常だよ。歪んじゃったんだ。
思い出す度に、あいつに殺意がわく。そこらの少女を壊すだけじゃ飽きたらず、僕の大切な世界を汚したのだから。でも、皮肉にも彼女を大切に……それこそ、ガラスのように扱わなくちゃいけないと思い始めたのも、愛しはじめたのも、今の久谷竜胆(ぼく)を作ったのも、あいつだ。感謝しなくてはいけないのかもしれない。
「まあ、僕が世界を守るのは変わらないし」
小さく呟く。
そう。世界を愛し、守るのは僕だよ。この可愛い世界も、吐き気のするほど美しい世界も、すべて僕のものだ。譲る気はない。たとえ、人を殺したとしても。
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