複雑・ファジー小説

Re: 世界と一緒だから ( No.33 )
日時: 2012/08/08 14:17
名前: 白沢祐 ◆xoPT2KzXZY (ID: 49KdC02.)
参照: 久々の更新

【四話め。 愛情と狂気は紙一重 2】

 黒谷の言葉に若干疑いながらも星野が調べると、ぼろぼろと情報が出てくる。湯本有香というクラスの女子のボスが去年からの兎崎イジメの主犯であること、未だに虫の入った手作り弁当を兎崎に食わせていたこと、事件当日の五限目は「旧校舎でサボる」と言っていたこと。次々と明らかになる情報に、星野も僕も違和感を覚えていた。彼女が一年かけても見つからなかった情報が、ほんの数日で明らかになる。おかしいと思わない方がおかしい。

「多分全部、黒谷が糸を引いてるよ」

 先週の金曜日、僕らの知らない間に退学になった湯本の席を見つめながら、星野が呟いた言葉。結局、誰が兎崎を殺した犯人なのかはっきり知らないままに、湯本が犯人となって消えた。でもきっと、黒谷が関わってきていなければ、湯本が犯人だと突き止めるまでに至らなかった。アイツが、全てを知っていてもなんらおかしくないと思うのは不思議じゃない。それでも、黒谷を問いつめて敵を増やすような行動をしないのが、星野の賢さの現れだった。
 僕が聞けば何か教えてくれるかな。そう思いながらも、黒谷といると世界が拗ねるし、そもそも僕は情報云々に興味がない。