複雑・ファジー小説

Re: 世界と一緒だから ( No.35 )
日時: 2012/08/14 09:45
名前: 白沢祐 ◆xoPT2KzXZY (ID: 49KdC02.)
参照: 久々の更新で申し訳ないです。

【四話め。 愛情と狂気は紙一重 4】

「なあんて、残念だったね。もし仮に世界が恋人じゃなかったとしても、他の子と付き合う気なんて微塵もないから。世界以外を愛すなんて有り得ないね」

 くつくつと馬鹿にしたように笑うと、女子は益々顔を赤くする。もちろん、怒りで。下唇を噛みしめて、睨みつけてくるその仕草はまるで赤鬼みたいで。怖いなぁなんて思っていると、女子が口を開いた。

「な、んで……、なんでよっ! 私の方がずっと可愛いじゃない! 頭も良ければ料理もできて……あんな“落ちこぼれ”のどこがいいのよ! 私の方がっ」

 がんっ、という鈍い音で女子が口を閉じた。何の音だろうかと思っていたけれど、足に伝わる痛みから無意識に机を蹴っていたことに気づく。女子が黙ったのはチャンスなので、そのまま言葉を続ける。もちろん、僕を見つめるおびえたような目には気がつかないフリをして。

「たとえ世界がいなくて、君が見た目だけは可愛かったとしよう。それでも付き合うわけないだろ。なんで、人を貶めるような発言が平気で出来る性格ブスと付き合わなきゃならないわけ? 今周りで見てる子たちもそうだ。人に好かれたいなら、性格には気をつけてよ」