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複雑・ファジー小説
- Re: 世界と一緒だから ( No.6 )
- 日時: 2012/07/29 06:26
- 名前: 白沢祐 ◆xoPT2KzXZY (ID: khvYzXY.)
【壱話め。 君のためと綺麗事を言う僕を許してください 1】
ゆらゆらゆらゆら。陽炎のように景色が揺れる。目の前に立った黒髪の男も、ゆらゆらゆらゆらと揺れている。
気持ちが悪いな、と思った。夢だと気がついているから、ひたすらに醒めてくれと願うのだけれど、ゆらゆらした景色は消えてくれやしない。なんていう嫌がらせだろうか。ああ、気持ち悪い。
そんな吐き気をごまかすように、目の前の男を睨みつける。ああ、前にもこんな夢をみたことがあるぞ、と気がついた頃には遅かった。目の前の男はゆらゆらするのをやめて、僕を見て口元を歪めた。嘲笑。濁った青い瞳のそいつは、けたけたけたと笑い出す。僕を指さして、腹を抱えて。
自分のココロとやらなのか。僕はこんなに、自分を卑下していただろうかと首をかしげながらも、とりあえず目の前の僕もどきの首を絞める。襲うのは、吐き気に似た快感。ああ、殺したい。そうすればもっと、心地よくなるだろうに。
そんなことを考えていると、僕もどきは笑うのをやめた。死んだ魚のように濁りきったミッドナイトブルーの瞳が、鳶色に変わる。少し長めの黒髪は、焦げ茶色のロングヘアへと変わっていく。ああ、世界だ。
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