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「知ってる、のか？」
「はい。一度戦ったことあります。」
「え！マジで！」
陣呉はコクリと頷く。
「あれは、二年前です．．．。」

「奴は真剣を使う俺に対し、ナイフで挑んできました。初めはどこぞやのひよっこだと思って戦いましたが、それでも奴は互角に戦いました。」
「そ、それで．．．？」
「逃げられました。」
「逃げた．．．？」
何故そんなことをするのだろうと、佳夢は思った。
なにせ、虐殺師、だ。それ故に、なぜ逃げたのかが分からない。
普通虐殺師と名乗るなら、相手を虐殺しないと駄目じゃないのか。
佳夢は首をかしげる。

「なんだ．．．。なにか違う．．．。」
佳夢はぶつぶつと呟きながら地上への階段を上がる。
やがて、地上からの光が差し込んできた。
地上に出ると、そこは小さな個室。色々な物が置いてあって、
物置状態である。
そして、そこにいたのは真夢であった。
「あ、お兄ちゃんみっけ！」
「げっ．．．。」

佳夢は真夢に見つかるや否や走り出し、逃げた。
「あ、待て！」
「待たぬ！」
物置を出て、廊下を走りぬける。
そして曲がり角で、人にぶつかる。
「あっ．．．。」

星野白美。
十四歳。男。はとこ。中学生。魚座のＡＢ型。
去年のハッキング回数、２８９回。ノートパソコン常備。
一族きっての天才ハッカー。

「佳兄、何やってんの？」
「ちょっと追いかけっこを．．．。やばい、来る！」
白美は「またやってんのか．．．。」みたいな顔をする。
しかし、佳夢にとっては重大な事件である。
「白美！ちょっと匿ってくれ！」
「匿うって．．．。どこに？」
「お前の部屋！」
「え．．．。」