複雑・ファジー小説

Re: 【オリキャラ募集中!】鎌奈家の一族【何か新キャラ出てきた】 ( No.115 )
日時: 2013/03/03 22:21
名前: 純金リップ (ID: AO7OXeJ5)

明太との話を終え、佳夢は家へ帰っていた。
その帰り道でふと前方に人影。
それは、まぎれもなく知ってる人であった。

白銀雛菊。
十七歳。男。いとこ。高校生。牡牛座のB型。
今まで開けた鍵の数、1794。鍵を開けるまでの時間、最長10分。
一族きってのピッキング。

「おい、雛菊。」
横に並んで声を掛ける。
雛菊はこちらに気付くと、陽気に笑った。
「うっす!佳夢兄さん!元気しとった?同じ家で聞くのも変やけど。」
「別に。いつもとかわんねーよ。いつもと同じく変なことに巻き込まれてる。」
「あっはー。佳夢兄さんは昔から退屈せえへんなー!分けてもらいたいぐらいや。」
「分けてやろうか。」
「それはええわ。」
雛菊は苦笑いで答える。
「しかし、何してたんだ?」
「んー。別に。友達と遊んどっただけや。佳夢兄さんは何しとったの?」
「だから、変なことに巻き込まれ——、ん?」
佳夢は横断歩道を見て立ち止まった。
その真ん中には、大体中学三年生か、高校一年生ぐらいの人影。
違和感があるのは今日は温かいのにロングコートを着ているという事。
それと、横断歩道の信号が、赤であること。

「ちょっ——、ヤバい!」
「え?どうしたん?佳夢兄さん。」
すぐそこに一台、車が来ていた。
それ以外、車は来ていないのに。
まるで、わざとそこを走っているかのように。
それは止まる気配もなく、そのままぶつかってしまいそうだった。
「雛菊、ちょっと持ってろ!」
持っていた鞄を雛菊に押し付け、佳夢は歩道の柵を飛び越え、道路へ飛び出した。
まだ走れば間に合う程の距離である。
「えっ?!佳夢兄さん!?」
雛菊の呼ぶ声は一切無視し、車道を横切るように横断歩道へ走る。
その間にも車は減速せず一直線に走っていた。
一方、横断歩道の人は、急ごうともせず、千鳥足で、ゆっくり進む。
いや、進んでいるのかも怪しい。
佳夢も横断歩道へ全速力で走った。
そして、車が直前まで来たところで、佳夢も真後ろまで来ていた。
し手を精一杯に伸ばし、その子のフードを掴んだ。
やや乱暴ではあるが、後ろへ引っ張り、その子を抱えるようにして佳夢は後ろに倒れる。
車は先ほどまで佳夢の抱える子がいた場所をスピードを緩めず通過する。

取りあえず、その子を抱えて歩道へ戻ると、雛菊が駆け寄ってきた。
「佳夢兄さん!大丈夫かいな!」
「ああ。なんとか...。この子もだ。」
よく見ると佳夢が助けた子は少女であった。
何故か包帯で顔を隠しているが、その理由は今は聞けないだろう。
少女は息が荒くなっていて、目も虚ろであった。
雛菊はしゃがんで、少女の首に手をあてる。
「この子、風邪ひいとるんちゃうか?」
「多分な...。病院に連れて行こう。」
「でも、こんな子見たことあらへんで?
もしかしたら、この辺の人じゃないかもしれんし...。」
「知るか。連れて行かなきゃいけないのは、変わんねえよ。」
「...ま、せやな。ほな行こう。」
雛菊は立ち上がって歩き始めた。
佳夢も少女を抱え、病院を目指し歩き始める。
周りの視線が痛いのは気にしない。


一方、鎌奈家では。
「ダウト!」
「はいざんねーん!裏夢アウト!」
「なん...だと...。」
「ほら、全部持ってきなさいよ裏夢兄さん。強欲ね。」
未だダウトが続いていた。