複雑・ファジー小説
- Re: 【オリキャラ募集中!】鎌奈家の一族【何か新キャラ出てきた】 ( No.132 )
- 日時: 2012/09/06 22:35
- 名前: 純金リップ (ID: Q.36Ndzw)
一方、恵人の自室で九六は未だ暴れていた。
三人は手も足もでず、部屋の端に追い込まれていた。
「おいおいおいおいおいおい...。どうすんだ恵人さんよぉ。」
「そうや。どう落とし前付けてくれんねん。」
恵人をはさみながら、佳夢と雛菊は責めるように恵人を睨む。
「う〜ん...、え〜っと...。そ、そうだ!」
思いついたように恵人は手を打ち、九六の後ろの薬品棚を指す。
「あそこに強力な麻酔がある、けど...。」
「けど?なんだよ?」
途端、恵人は声の調子を落とす。
「鍵がかかってるんだよね...。今、その鍵持ってなくてさぁ。」
しかし、それを聞いた佳夢は笑い、雛菊を見る。
雛菊もそれを見て頷く。
「それなら心配いらねぇ。よし、麻酔を取り出して、九六を鎮めよう。」
「了解や!佳夢兄さん!」
「えっ?何が?」
「恵人さん、あんたは雛菊についてけ!」
「え、えっと、了解!」
次の瞬間。
佳夢は掛けだし、九六に向かって跳び蹴りを放つ。
しかし、それはあっけなく片手で受け止められた。
「...おろ?」
間抜けな声と共に、佳夢は跳ね返される。
恵人と雛菊はすでに走り出しており、九六の横を抜けるようにして
薬品棚へ向かった。
それに気付いたのか、九六はそちらを向く。
雛菊と恵人はそれに気づいておらず、必死で薬品棚へ向かう。
「おい!九六!」
九六は呼ばれて振り向く。
佳夢は注意をこちらに逸らすため、挑発するようににやりと笑った。
「俺はこっちだぜ。ほら、こっちこいよかわい子ちゃん。」
九六は明らかに怒ったように、声を荒らげて叫ぶ。
「うああああああああああああああああああああああああああ!」
その瞬間、九六は地面を蹴って走り出し、佳夢の鳩尾目がけて、拳を放った。
「うぐっ——!」
それを正面から受けた佳夢は口から血を吐き出す。
さらにそこから九六は足を上げ、顎を蹴り、さらに構え直して回転蹴りをくらわせる。
明らかに、佳夢は負けていた。
恵人と雛菊は、その頃薬品棚についており、作業を始めていた。
「ねぇ、雛菊君。ホントに開けられんの?それ。」
「あたりまえや。俺に開けられへん鍵はないでー。」
自身ありげにいながら、雛菊はピッキングを続ける。
そう、彼に開けられない鍵は、実在しない。
恵人は心配そうに佳夢を見る。
佳夢は相変わらず、九六のラッシュに押されていた。
「早くしないと!佳夢君死んじゃうぜ!」
「ああもう...。ちょい待ちぃ!もうちょいや...。もうちょいで...。」
その時、鍵の開いた音がした。
「ほいきたぁ!」
「おおっ!すごい!」
雛菊は棚を乱暴に開け、恵人に見せる。
「で、どれや!麻酔薬!」
「えっと...。あぁ、これこれ!」
恵人が取り出したのは何の変哲もない箱。
そしてその中から、一本の注射器を取り出す。
「おい!佳夢君!」
「あぁん!?...お、きたか...。」
佳夢はその瞬間。
目覚めたようにして、目をカッと開く。
佳夢にとどめを刺そうとした九六の拳を、佳夢は瞬時に右手で受け止めた。
そして、そのまま九六は驚いたように動きを止めた。
その隙を突き、恵人が注射器を投げる。
佳夢はそれを上手くキャッチし、乱暴にそれを九六の首に刺した。
「っ...!」
九六は痛がる様子もなく、すぐに目を閉じて、倒れた。
恵人と雛菊はすぐに駆け寄り、九六を見下ろす。
「...なんとか、一件落着か。」
「そう、やな。」
「ふぅ...。」
三人は胸をなでおろす。
しかし、その瞬間部屋に萌華が飛び込んでくる。
「佳夢君!」
あまりの勢いに三人はたじろぐが、それでも容赦なく、部屋に入ってくる。
「今、ニュースで、火事があったって!」
「火事...?」
「うん!あの、愛子ちゃんの、家で!」
「...え?」
「とりあえず、来て!」
佳夢は萌華に言われ部屋を飛び出す。
そして、リビングのテレビで流れていたのは。
愛子の家が燃やされた事実と、
そして、その家に愛子の両親が取り残されているという事実であった。