複雑・ファジー小説

Re: 【オリキャラ募集中!】鎌奈家の一族【もはや迷走中】 ( No.140 )
日時: 2012/09/08 07:53
名前: 純金リップ (ID: Q.36Ndzw)
参照: さぁ、ショータイムだ

取りあえず愛子が案内されたのは依然彩奇が使っていた部屋であった。
「自由に使っていいよ。」
とは言われたが、やはり他の人の部屋では気が引ける。
気を取り直して、まず何をしようか考える。
しかし、持ってる荷物は携帯と本が二冊。
自由に使える何かといえばベッドぐらいしかなく、
考えては見たがすることもほとんどない。
「...どうしようかなぁ。」
ベッドに座りながら愛子は呟く。
すると、いきなり部屋のドアが開く。
「お邪魔しまーす!」
入ってきたのは真夢。
それと、渋々ついてきたような顔の裏夢であった。

「特に用はないけど来ましたー!」
「...。」
「そ、そう。あの、裏夢君顔色が悪いけど...。
なんか、いやいや付き合ってたりとかしない?」
優しく問いかけると、真夢が裏夢を振り返る。
視線が合うと裏夢はゆっくり頷く。
それを見て真夢は嬉しそうに笑い愛子の方を向く。
「大丈夫!問題ないって!」
「え...、でも...。」
明らかに大丈夫な様子ではない。
「大丈夫だって!別に『断ったらお前の秘密ばらすぞ』
なんて脅してないから!」
「...。」
どうやら諸事情があるらしい。

「で、愛子さんなにしてたの?」
「別に...。何もしてなかったけど。」
「ふうん。」
真夢は興味なさそうに頷く。
愛子はふと気付いたが、よく見れば菜夢がいなかった。
一緒にいるところを頻繁に見ていたからか、
仲がいいファイヤーシスターズみたいなイメージがあったが、
思い違いなのだろうか。
「真夢ちゃん。菜夢ちゃんは?」
興味があって聞いてみた。
「うん?菜夢ちゃんはいま勉強中だよ。元々勉強好きっていう設定だしね。」
「え?設定?」
「あ、違った。そういう性格なの。」
「へぇ。そう。」
いまどき勉強好きな子など珍しいなと、愛子は感心する。

「ねぇ、愛子さん。暇ならさ、皆を紹介するよ。」
「みんな?」
「うん。昼にあった人たち以外にもいっぱいいるし。
愛子さんどうせ今日泊まるんだし、顔出しといたほうがいいよ。」
「そうかな?」
「そうだよ!よし、行こう!ほら、裏夢も行くよ!」
真夢は立ち上がりながら裏夢の肩を叩いた。
裏夢の顔からは完全に生気が消えていた。
どれだけ重要な秘密を握られているのだろう。
少しばかり気になったが、やはり聞かないでおく。
真夢と裏夢が部屋から出て、ワンテンポ遅れて部屋を出る。
「まず誰に会おうか?」
誰に言うでもなく真夢が言った。
廊下を歩いていくと、曲がり角からおかっぱの女の子が歩いてきた。

神凪 梓
十四歳。女。はとこ。中学生。蟹座のB型。
IQは200。十二ヶ国語を話せる。
一族きっての秀才。

「あ、梓ちゃん!」
真夢は梓に向かって手を振る。
梓はこちらに気付いたようで、こっちを向いて手を振り返してくる。
しかし、表情に変化はない。
こちらに歩いてきて、三人を見てから口を開いた。
「Buenas noches」
三人の頭の上に疑問符が浮かんだ。
「...こんばんは、って言ったのよ。」
暫くして普通に日本語で話し始める。
「なぁんだ。そうだったの?え?今の何語?」
「スペイン語。中学生でもわかるよ。」
「えっ...。」
真夢は真に受けたようで、驚いた顔をする。
多分冗談であろう。
もしかしたら本当かもしれないが。

「梓は頭いいんだ。」
ここにきて裏夢がやっと口を開く。
どうやら、元気を取り戻してきたらしい。
「だから、何ヶ国語も話せてさ...。
おちょくってんだかわかんないけど、他国の言葉をたまに使うんだよね。」
「そうなんだ。それはすごいね。」
「まぁ、佳兄だったら普通に対応するけど。」
「それもすごいね...。」
只者ではないと思っていたが、本当にそうではないようだ。