複雑・ファジー小説

Re: 【オリキャラ募集中!】鎌奈家の一族【もはや迷走中】 ( No.141 )
日時: 2012/09/11 23:31
名前: 純金リップ (ID: Q.36Ndzw)
参照: ※碧子さんの苦労人歴は紅介と知り合ってからを含めます


「で。」
愛子と話していた梓は唐突に愛子に視線を向ける。
「Who is she?」
「あ、あぁ!それ位は分かるよ!」
「わかんなかったら、逆に凄いよ...。」
得意げな真夢に裏夢がすかさずツッコむ。
さすが姉弟というコンビネーションだった。
「この人は押崖愛子さん。」
「ふぅん。よろしくね。押崖さん。」
梓は自ら手を差し伸べる。
「よ、よろしくね。」
愛子は少したじろぎながらも、その手を握る。

少し雑談をしながら四人が歩いていると、
キッチンからなにやらいい匂いがする、と真夢が言いだし、
キッチンへ向かう事となった。
そこには、二人女性が立っていた。
「あら、真夢ちゃん、梓ちゃん、裏夢君、それと...。」
「おや?可愛らしいお嬢さんだねぇ。」

星野碧子
三十四歳。女。叔母。主婦。乙女座のA型。
母歴、14年。苦労人歴、25年。
一族きっての苦労人。

鎌奈ヨミ
年齢不明。女。祖父の曽祖母。無職。星座、血液型不明。
知恵袋の数、無限。皆の良き相談相手。
一族きっての母。

そこに立ち並ぶ二人の女性は明らかにエンジョイした時代が違うと、
一目でわかるほど、歳の差があるようだった。
「こ、こんにちわ。押崖愛子っていいます。」
「あぁ。あなたが愛子ちゃんね。いろいろ聞いてるわ。」
「ゆっくりとしていきなさいよ。」
二人は優しい笑みを見せ、愛子も「はい」と返事をして笑う。
気が付けば真夢と裏夢がおらず、ふとみると、
調理中の鍋の前にいた。

「あ、今日カレーだね。」
「そうよ。今、おばあちゃんと一緒に作ってたの。」
「二人が作るカレー美味しいからなー。
真夢姉さんはちょっとアレだけど...。」
「アレって何よ!」
「まぁまぁ。落ち着きなさい。喧嘩はよくないわよ。」
ヨミはなだめるように言って、台所の机の上にある皿から、
団子を二つ取って真夢と裏夢へ差し出した。
「これでも食べなさい。」
「わぁ!ありがとうおばあちゃん!」
「ん。美味い。」
二人は実に満足げな表情を見せていた。
裏夢に至っては先ほどまで絶望的な表情だったのを忘れてしまう程に。
愛子は梓の肩を叩いた。
「ねぇ。ヨミさんって、真夢ちゃんたちのおばあさん?」
そう尋ねると、梓は首を横に振った。
「違う。えっと、祖父の曾祖母。」
「え!?そ、それって、なんていえばいいの!?」
「五世の祖。」
「あ、そうなんだ...。」
あっさりと答える梓に思わず感激する。

「でも、それじゃ面倒だから、皆『ヨミさん』とか、
『おばあちゃん』って呼んでる。」
「へぇ...。」
しかし、そこまでいくと歳はいくつなのだろうと思うが、
それは敢えて聞かないことにした愛子であった。
「でも、その割には元気だね。」
そんなことを言ってると、ヨミがこちらにも団子を持ってきた。
「ほら、あんた達も。」
「あ、ありがとうございます。」
「ありがとう。」
愛子はその団子を口に入れる。
中身はあんこと思われる。
甘みが口の中に広がっていく。
「美味しいです!」
「そうかい?それはよかった。」
「作った甲斐があったわね、おばあちゃん。」
「そうね。」
ヨミと碧子は顔を合わせて笑った。
まだ、呑み込んだ今でも甘みが口の中に残っていた。