複雑・ファジー小説

Re: 【オリキャラ募集中!】鎌奈家の一族【是非見てね!】 ( No.145 )
日時: 2012/09/18 22:00
名前: 純金リップ (ID: Q.36Ndzw)
参照: 佳夢がキモかったりします。お許しください。

何処からともなく佳夢の叫びが聞こえてきたころ、
愛子は真夢と菜夢に挟まれカレーを食していた。
二人からの質問攻めにあっていた愛子は、
逆に質問をし返してみた。
反撃を試みたのだ。
「ねぇ、真夢ちゃん、菜夢ちゃん。
いっつもこんな感じに皆で食べてるの?」
「ううん。いっつもじゃないよ。」
首を振ったのは真夢だった。
「でも週に三日ぐらいこういう日があるかな。」
「それでも結構多い方だね...。」
「そうね。家は家族の和を大切にするとこだから、
ひいおじいちゃんが呼びかけてこういうのをやるの。」
「ふぅん...。」
愛子はうなずいてカレーを口にする。

「愛子さん。」
「なに?菜夢ちゃん。」
「やっぱり明日帰んなきゃいけないのかしら。」
「えっ?」
菜夢は意外なことを聞いてきた。
「この家の人たち、愛子さんを気に入ってるみたいだし、
まだいることはできないかしら?」
「そ、そんな、気に入られてるなんてことはないよ。
この家の人たちが優しいだけでしょ?」
「そうかしら。」
菜夢は首をかしげて真夢を見る。
真夢は笑顔でうなずく。
「確かに、この家の人ってだいたいおせっかいで優しいけど、
それだけで愛子さんをこんなに歓迎してくれるなんて思わないよ。」

真夢が言うと、上から声が降りてきた。
「そうよ、愛子ちゃん。」
「あ、ヨミさん。」
ヨミは真夢と愛子の間に座ると、柔らかな笑みを浮かべた。
「愛子ちゃんは人に愛される様な子だよ。
裏表のない、いい子さ。」
「そ、そんな...。」
「私にはわかるよ。少し話しただけでもね。」
愛子は照れ臭そうに頬を赤らめた。
その横で、菜夢も笑っていた。
「これでわかったでしょ?ヨミさんの言う事はいつでも正しいのよ。」
「私をそんな風に言っちゃいけないよ。
私も昔はやんちゃな青二才だったんだし。」
とてもそうとは思えないような大物のオーラを放ちながら、
ヨミは楽しそうに笑った。

そして、それから三時間後。
午後十時頃。
愛子は真夢に寝間着を貸してもらい、部屋でくつろいでいた。
いきなり、何者かが扉を叩いた。
「はい。どうぞ。」
そう言うと、扉は空き佳夢が現れた。
「よ。」
「あ、佳夢君。えっと、今日はありがとね。」
愛子は立ち上がって申し訳なさそうに言った。
「いや。別にいいんだが。それに、俺はほぼなんもしてねぇよ。」
「え、そ、そう?」
「あぁ。お前と遊んでたのも真夢とか裏夢だし。
飯作ってくれたのもヨミさんとか碧子さん達だし。」
自分で言っといてなんだが、本当に何もしてなくて、
佳夢は少しへこむ。
そんな佳夢をフォローするように、愛子は言った。
「でも、ここに連れてきてくれたのは佳夢君だよ。」
「それは...、まぁ、誰の所為にもできないか。」
佳夢は困ったように笑った。
「ま、親戚のとこでも上手くやれよ。」
佳夢は締めくくるように言った。
「分かってるよ。」
「ちゃんと、答え見つけろよ。」
「...うん。」
「じゃ、おやすみ。」
愛子が「おやすみ」と返す前に扉を閉めた。

扉の向こうで、佳夢はため息をつき、踵を返した。
ゆっくりと廊下を歩きながら、窓の外を見る。
どうやら今夜は三日月らしかった。
特にどういう月が好きと言う訳ではないが、
なんだか風流な感じだ。
そんな適当な事を思ってみるも、
ため息はこぼれた。
「...帰ってほしくねえよなぁ。」
誰に聞かせるでもないよう呟いて、
部屋へ向かって歩き始めた。