複雑・ファジー小説
- Re: 【オリキャラ募集中!】鎌奈家の一族【是非見てね!】 ( No.153 )
- 日時: 2012/09/19 23:09
- 名前: 純金リップ (ID: Q.36Ndzw)
- 参照: エンドロールまで一直線
目が醒めた時には、すでに日にちを跨いでいた。
四月四日。
ベッドから跳ね起き、時刻を確認する。
午前九時。
思わず顔を手で覆う。
「なんてことをしてるんだ俺...。」
本来ならば昨日中に起きて、愛子を見送るはずだったのだが、
その機会すらもみすみす逃してしまった自分にあきれる。
「あーもう...。嫌になってくるな...。
あれ、待てよ?そうだよ、なんで真夢とか起こしてくんねえんだよ。
まったくふざけんなアイツら...。」
ぶつぶつと愚痴をつぶやきながら、
佳夢は鳴り始めた目覚まし時計の電子音を止める。
未だ自分に失望をしながら部屋を出ると、
横から声を掛けられた。
「あ、おはよう。佳夢君。」
声を掛けてきたのは、愛子であった。
「おう。おはよ。」
「昨日ぐっすり眠ってたね。そんなに疲れてた?」
「まぁな...。あー、早く飯を食べたい。」
「そうだね。もう真夢ちゃんと菜夢ちゃんは食べてたよ。」
「え?早くね?」
「二人はもう今日から学校始まってるからね。」
「あぁ...、そうか。」
「私達も明日から学校だし、ちゃんと自覚しないとね...。」
「そうだな。そういや、明日から学校じゃん。」
「そうだよ...。」
「いやー、忘れてた。」
佳夢は頭を掻いて、大きく欠伸をした。
そして、愛子を二度見する。
「え?え?」
「どうしたの佳夢君。」
「なんでお前がいるんだよ、押崖!」
「え...。あぁ、そうだ。佳夢君はその頃いなかったもんね。」
愛子の説明によると、どうやら愛子はここに残るらしい。
佳夢はそれを聞いて、大変驚いた。
それと同時に、少し安心した。
「にしても、親戚の人はよく許してくれたな。」
「あはは。そうだね。その人たちも三人くらい子供いるし、
私がいても家計が苦しくなるだけだしね。」
多分そうではなく、鎌奈家の誰かが上手く説得したのだろう。
そんな理由で引き取りを拒否するなら、
最初から引き取るなど言わないだろう。
「で、ここで答えを見つけるって訳か。」
「ううん。答えならもう見つかった。
私は単にここを去るのが名残惜しいだけだよ。」
「そうなの?」
愛子はうなずく。
「私はやっぱり、人は生きてる内も死んだ後も、平等に愛される。
そう思う事にしたんだ。」
「へぇ...。いいんじゃないか?」
別にそれが正解と言う訳でもないのだろうが、
それは本人の導き出した答えだ。
今更口を出す必要もないだろう。
愛子は急に横を歩いている佳夢の前に出て、頭を下げた。
「これからもよろしくね、、佳夢君。」
「あぁ...。よろしく。」
佳夢がそう答えると、愛子は顔を上げ、
純粋な笑顔で笑った。
その頃、東京郊外の某所。
ビルの屋上で青空を眺めながら、長司は手元のナイフを指先でいじっていた。
「今日も平和だねぇ。」
横でルービックキューブで遊んでいた音海が、
聞いてるのか聞いてないかわからない表情で頷く。
「こんな日は人を殺したいねぇ。」
またもや、音海はうなずく。
「で、今日は鎌奈家の誰を殺すんだ?」
音海はルービックキューブを置き、ポケットから写真を取り出す。
「この子だよ!」
「ほほう。」
写真を取って、長司は顎に手を当てる。
そして暫く写真を眺めると、地上に向かって写真を落とした。
「それじゃ、行こうか。」
「オッケ!」
音海は足でルービックキューブを砕き、
歩き出した長司の後をついて行く。
つまらないラブコメは終わり。
ディープで血まみれな話が始まろうとしていた。