複雑・ファジー小説
- Re: 【早速オリキャラ募集中!】鎌奈家の一族 ( No.16 )
- 日時: 2012/07/27 23:47
- 名前: 純金リップ (ID: EfKicuSN)
後日。
親族だけの葬式が行われた。
しかし、鎌奈家だけでもかなりの大人数となった。
佳夢はその間。
なにも考えられなかった。
「お兄ちゃん。」
「ん。」
真夢に声を掛けられ我に返る。
「なんだ。」
「えっと、その、元気出して。」
「...落ち込んでるように見えるか。」
「うん。」
彩奇が死んでから何日か経ってそこそこ回復したと自分では思ってたが、
どうも他人からはそうは見えないらしい。
「私、単純だけど、ううん、単純だからわかるよ。お兄ちゃんが落ち込んでるって。」
「そうか。」
そっと目を閉じる。
彩奇の姿が目に浮かんだ。
爽やかな笑顔をいつもふりまいている、
彩奇の姿が。
「そりゃすまんな。」
佳夢は真夢の頭を優しくなでる。
「俺は、弱いからさ...。」
「...。」
「すまんな。」
三月十九日。
権砕の部屋にて、ふたたび権砕と向かい合う。
「佳夢。」
「はい。」
「やはり、虐殺師の件は儂一人で解決する。」
「え...。」
思わず佳夢は身を乗り出す。
「なんで、ですか?」
「お前らを危険に巻き込むわけにはいかないからな。儂から頼んでおいてなんだが、手を引いてくれ。」
「でも...。俺は、彩奇さんの仇を——。」
「分かっている。」
権砕の目の色が変わった。
「それでも、駄目だ。」
その気迫に押され、佳夢は反論するのをやめた。
権砕の部屋を出て部屋に戻ろうとして、立ち止まる。
その場所は最後に彩奇さんと話した廊下だった。
「...。」
佳夢は唇を噛み締め、その場に立ち尽くしていた。
だが、その雰囲気を全く考慮しないような声が飛んできた。
「何しとんねん、自分。しけたツラして。」
白銀菊花。
十六歳。この時まだ十五歳。女。従妹。高校生。乙女座のA型。
今まで盗んだ物、数えきれない。捕まった回数、0回。
一族きっての鼠小僧。
菊花は窓からひょこりと顔をだして、こちらを見ていた。
「...何してんだ、そんなとこで。」
「なーんにもしてへんよ。ただ、散歩しとったらたまたま通りかかったんで声かけただけや。」
「俺は今アンニュイなんだよ。雰囲気壊すな。ほら、行け。」
「虐殺師。」
佳夢が手で振り払うジェスチャーをすると共に、
菊花はその単語を呟いた。
「今、お前、なんて...。」
「ワシが盗み聞きしてないなんて、思っとらんよなぁ。何と言っても、義賊鼠小僧さまやし?」
「...恐ろしいな、お前。」
「ほんま?おおきに。」