複雑・ファジー小説
- Re: 【オリキャラ募集中!】鎌奈家の一族【是非見てね!】 ( No.164 )
- 日時: 2012/10/02 22:04
- 名前: 純金リップ (ID: Q.36Ndzw)
- 参照: 本編とミキシマックス
裏夢の勉強時間がそがれているその頃、
同じ屋敷内の、とある部屋では。
窓の外を頬杖を突きながらぼうっと眺めていると、
目の前にされが差し出された。
皿の上には随分上手に焼けているホットケーキであった。
食べるべきなのかと迷っていると、
反対側に、色違いの皿を持った愛子が座った。
「食べなよ。佳夢君。」
愛子は笑顔で薦めてくる。
「ん、ああ。」
そういえば、と思いだし、フォークとナイフを手に取る。
「おなか減ったな〜。」
三十分前。
愛子は唐突にそう言いだした。
「そうだな。」
佳夢は興味なしにそう言う。
時計を見れば、三時を過ぎていた。
「なんか作ろっか。」
「え?なんかって...?」
「さぁ。」
愛子は立ち上がって台所へ向かおうとする。
「なにがあるかな?」
「...。」
佳夢は返事をしない。
愛子は佳夢に問いかけたつもりだったのだが、
当の佳夢は前方を見つめてぼうっとしている。
ためしに目の前で手を振ってみるも、反応はない。
「佳夢君っ!」
何度やっても反応がないため、
目の前で手を叩いてみる。
びくりと体を震わし、
佳夢は愛子の方を向いた。
「なんだよ?」
「だから、なにがあるかな、って聞いたんでしょうが!」
「あ?あぁ。はいはい。」
佳夢は頷いて腰を浮かす。
「佳夢君、なんか最近気が抜けてること多くない?」
「そうか?」
「そうだよ!」
佳夢は心当たりがなくもないが、
それほどまでにか、と自分にあきれる。
一ヶ月前の事を忘れるのは無理であった。
それは、佳夢の人生のターニングポイント
となりえるかもしれない、重大かつ重要な出来事である。
とりあえず、権砕や菜夢や真夢にはその事を話した。
皆、半信半疑であったろうが、
真面目には聞いてくれた。
それぞれがそれぞれの観点でコメントをしていたが、
以外にも、真夢はあまり喜んだ様子ではなかった。
「なんか。それ、本当だとしても、嫌な予感がするんだよ。」
と、不吉なことを言った。
真夢の予感は当たりそうなので怖かった。
その事について無意識に考えていたのだ。
佳夢は、未だはっきりしない真相に悩まされていた。
愛子も、なんとなくはそれを知っているものの、
いちいち気遣う事までは出来ずにいた。
「佳夢君、ちゃんと受験勉強してる?」
台所で棚を覗きながら、愛子は問う。
「その様子じゃ、あんま手についてなさそうだけど。」
「うぐっ...。」
図星であった。
言い訳もしたくなるが、
それではなんだか情けない。
「まぁ、あんまり...。」
心苦しい現実であるが、
認めるしかなかった。
「駄目じゃん。ちゃんと勉強しとかないと。」
愛子はため息交じりに言う。
「分かってるよ、分かってるけどさ...。」
「分かってる、けど?」
「どうしてもさ」
「あ、これいいんじゃない?」
佳夢の台詞を無視して、
愛子は棚から取り出したホットケーキミックスの素を取り出す。
「いいんじゃないか?」
「賞味期限も明日までだし...。」
「じゃ、作るか。」
「あ、佳夢君はいいよ。疲れてるんだし。」
愛子は拒否するように、手を振る。
一瞬その優しさに心を打たれたが、
「作ってる途中にぼーっとされたら足手まといだしね。」
と、次の台詞で一気に落ち込んだ。