複雑・ファジー小説
- Re: 【オリキャラ募集中!】鎌奈家の一族【是非見てね!】 ( No.166 )
- 日時: 2012/10/15 23:34
- 名前: 純金リップ (ID: Q.36Ndzw)
- 参照: 今更だけど、憑物語を買った。
阿美香と向かい合いながら座り、
佳夢は、おつまみに手を伸ばす。
何種類かあるうちから、
少し迷って柿の種を数個取る。
「真夢と裏夢と菜夢は元気?」
「うん。それそうとうにな。」
柿の種を口の中に入れて、
咀嚼する。
「そう。あ、九六ちゃんは?」
「九六?そういや、あいつはどういう経緯で引き取ることになったんだよ。」
「あ、話してなかったわね。」
コップの中の泡盛を飲み干し、
阿美香は語り始める。
「アメリカで仲良くなった日本人夫婦の子なのよ。」
「へぇ...。」
「彼らは、自分たちがもうすぐ死ぬことを見越して、
私に九六ちゃんを預けたわ。」
「...で、その人たちは?」
「死んだわ。表向きは事故死とされてるけど、
ありゃ完全に、消されたわね。」
あたりめをかじりながら、
阿美香はため息をつく。
「悪い人たちじゃなかったのにね。」
「...そうだったんだ。」
なんだか後味が悪く、
佳夢はすぐに話題を切り替えた。
「そういや、こないだ駅前のカフェでさ、刻夢兄さんを」
「見かけたんでしょ?私も見たわ。」
突然の告白に、どう反応していいか戸惑う。
阿美香は酔ってるのか、顔を赤らめながらも、
真剣な表情をする。
「外見からすれば、完璧に刻夢だったわね。」
「外見からすれば...?」
「ええ。でも、あれは刻夢じゃないわ。」
阿美香の言ってることがよく分からず、
それでも、母である阿美香の方が知ってるのだから、
と、混乱してくる。
「どうせ顔しか見てないでしょ?」
「まぁ...。」
「会えばわかるわ。ま、私は見ただけで判断できたけど。」
阿美香はコップ一杯に泡盛を注ぎ、
それをぐびぐびと飲み干す。
そしてその後。
二人は他愛のない話をして、
結果的に、酔いつぶれた阿美香を佳夢が運ぶ羽目になった。
「で、今は部屋で爆睡中。」
「ふうん...。」
愛子は手を合わせて、「ごちそうさま」と言った。
「会ってみたいなぁ。佳夢君のお母さん。」
「...別にかまわないけど。ま、会うなら今のうちかな。
二日三日もしたら、仕事に行くだろうし。」
「そうなんだ。多忙だね。」
愛子は感心したように驚く。
しかし、これが子供からしてみれば当たり前なので、
多忙なのかどうかは、佳夢などはよく分かっていなかった。
食べ終わり、皿を片付けようと部屋を出たところで、
待っていたのは叔父である紅介であった。
紅介は手招きをして、佳夢を呼んでいるようであった。
皿を片付けて行ってみると、人気のない所を見計らって、
紅介は話を始めた。
まず、ある写真を取り出した。
それは、恐らく竹林の中に佇んでいる、
腐った死体の写真だった。
その死体は血で覆われ、真っ赤になっていて、
腕やらがちぎれていた。
佳夢は思わず吐きそうになる。
「すまんな、こんな写真を見せて。」
「いえ...。」
「ほかにも、細かく撮ったものがある。」
そう言って、他の写真も取り出す。
腹部や頭部などを、分けて撮った写真だ。
さっき見たもので耐性はついたが、
やはり気持ち悪いという感情なしでは、
語れないような写真だった。
そして次に、佳夢は気づいた。
「これって...。」
「あぁ。もしかして、と思ってお前に見せた。どうだ?」
聞かれて、佳夢は頷く。
「はい。刻夢兄さんと同じ殺され方、です。」