複雑・ファジー小説
- Re: 【オリキャラ募集中!】鎌奈家の一族【是非見てね!】 ( No.167 )
- 日時: 2012/10/20 23:42
- 名前: 純金リップ (ID: Q.36Ndzw)
平日の午後。
学校の帰りがけに
ファストフード店に寄った佳夢は、
奇妙な光景を目にした。
店の奥の方に座っているのは、
明らかに真夢であった。
その横に座るのは、
何故か九六。
そして、向かい合って座るのは、
「樹くんさぁ、もっと食べた方がいいよー。」
「いや、拙者は...。」
「あ、私のチーズバーガーあげる!」
「...私のも。」
九六までもが樹にポテトを差し出す。
御堂樹。
十五歳。男。はとこ。職業は不明。牡羊座のA型。
利き手は右。常に上から目線。
一族きっての古歌少年。
「おい、何やってんだ。」
後ろから真夢たちに向かって声を掛ける。
「あ、お兄ちゃん!」
「兄さん...。」
「あ、若長!」
三人一斉に佳夢の方を見る。
「あのね、さっき樹くんに会ったから、
一緒にご飯食べようってことになってね。」
「どう見ても嫌がってんじゃねえか。」
「えー。そんなことないよ。ねっ、樹くん。」
「えっ...。まぁ、そう、だな。」
佳夢はため息をついて、樹の横に座る。
「若長。どうにかしてくれ。拙者じゃ耐えられん。」
樹は小声で助けを求める。
そう言われても、と佳夢は悩む。
確かに、樹一人ではきつかっただろう。
樹は真夢が昔から苦手で、
ずっと避けていたのであった。
「お前はどうしたいんだよ。」
「帰りたい。」
「よし、帰ろう、樹。」
佳夢は樹の肩を叩いて立ち上がった。
「えっ!?帰るの?」
「あぁ。俺と樹は急用が合ってなぁ。」
「そ、そんな!?」
「すまぬな、真夢さん。」
樹も立ち上がり、鞄を抱える。
これは、樹一人ではなしえない技であった。
生真面目な樹にとって、
嘘をつくのは難しいのだ。
真夢はハッとしたように口を開け、
九六に耳打ちをした。
「アレだ、アレをやって、九六ちゃん!」
九六は頷いて、真夢に指示されたことを実行した。
「兄さん...。」
その時、真夢の横の九六が声を掛けてきた。
「帰るの?」
上目使いで尋ねる九六の甘い声は、
佳夢の心に突き刺さった。
「わ、若長!?」
樹は不安を感じ、佳夢の顔を覗き込む。
完全にときめいた顔をした佳夢が、そこにいた。
佳夢はゆっくり樹の肩に手を伸ばすと、
力を入れ、無理やり席に座らせた。
「帰るわけ、ないだろ。」
爽やかな顔で、佳夢は断言した。
「若長ー!!」