複雑・ファジー小説
- Re: 【オリキャラ募集中!】鎌奈家の一族【是非見てね!】 ( No.168 )
- 日時: 2012/11/17 23:29
- 名前: 純金リップ (ID: Q.36Ndzw)
おまけ
(本編とはあんま関係ありません。)
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『呼名』
それは、九六が鎌奈家に来てから、
一週間ほど経ったころであった。
ある日突然、佳夢は九六に呼び止められた。
とりあえず九六の部屋で話を聞くことにして、
小さなテーブルに向かい合ってお茶を啜った。
「で、なんだ?」
「...呼び方。」
あまりに小さい声だったので、聞き取りにくかったが、
恐らく「呼び方」と言ったのだろう。
それを聞いて、そういえば、と思う。
まだ九六は誰を何て呼べばいいのか分からないのだ。
「呼び方、か。」
九六は頷く。
「誰が年上で、誰が年下かは、把握してる。」
「へぇ、そうなのか。」
なら、簡単なことではないだろうか。
普通に、「お兄ちゃん」とか、「お姉ちゃん」とかで良い気もする。
裏夢と菜夢は呼び捨てでも構わないだろう。
そんな風に言おうとすると、
九六は一枚紙を取り出した。
「呼び方リストを作った...。」
「案外マメなのな、お前。」
「貴方の分だけ、言っていこうと思う。」
佳夢は頷いて「おう」と返事をした。
「お兄たん。」
「いきなりきついな!」
「...駄目?」
「あぁ、駄目だ。周りから白い目で見られそうだし。」
「そう」と、九六は残念そうにつぶやいて、
淡々と次を読み上げていった。
「お兄様。」
「...俺的にはホームランなんだけど、ちょっとなぁ。」
「兄上。」
「それも駄目。」
「兄貴。」
「駄目だよ!なんか、不良みたいじゃん!」
それから少しして、
もう十個以上は読み上げられた呼び方リストは、
まだ底をつきない。
「兄者。」
「ゴウライジャーみたいだ、却下。」
「我が兄。」
「お前は本当にいかなる時もそれで俺を呼ぶのか!?」
「兄さん。」
「...ん?今度は無難だな。」
「これで終わり。」
「やっぱ、兄さん、が一番だな。」
「そう」と、九六は満足そうに頷いた。
「私もこれがいいと思っていた。」
「じゃあ聞くなよ。」
佳夢は呆れたように言った。
「でも、失礼だったらどうしようかと...。」
「あのな、もう家族なんだから、変な遠慮はするなよ。」
佳夢がそう言うと、
九六は照れ臭そうに俯いた。
「じゃ、改めて、よろしくな。」
佳夢は手を差し伸べる。
九六はその手を握る。
「よろしく、兄さん。」
用も済んだところで、
立ち上がろうとした佳夢だったが、
「兄さん」と呼び止められ、動きを止める。
「まだ、姉と弟と妹の分が...。」
「俺が全部聞くの!?」
この後も呼び方を決める会は、
続いたのだった。
九六が佳夢を「兄さん」と呼ぶようになったエピソード。
いいですよね、女の子が「兄さん」って。
そんな呼び方するの、
ハガレンのアルしか思いつきませんが(しかも男)