複雑・ファジー小説
- Re: 【オリキャラ募集中!】鎌奈家の一族【是非見てね!】 ( No.175 )
- 日時: 2012/10/23 22:01
- 名前: 純金リップ (ID: Q.36Ndzw)
- 参照: 本編だとおもふ
ハンバーガーを頬張りながら、
佳夢は周りの三人を見る。
それにしても異様な光景であった。
九六が真夢と外食していることからもう異様だが、
二人は現在同じ高校に通ってるので、
よく考えたらそうでもないかもしれない。
そして、その中に紛れ込む樹。
髪も長く、そのうえ細いので、
一見したら女子と思われてもおかしくはないが、
鎌奈家の人間からしたら意外や意外。
その他を挙げるとすれば真夢の眼鏡も異様だ。
この間あげたのだが、それでも慣れない。
何故だか頭が良さそうに見えるが、
実際はそうでもない。
その辺は変わらなかった。
なので、視力が落ちた理由は、
勉強のし過ぎなどではなく、
ゲームのし過ぎなのだ。
普段からポケモンのやりすぎである。
因みに佳夢もポケモンは好きで、
妹相手に只今17連勝中だ。
しかし、こうも異様な光景の中にいると、
自分までもが異様に思えてくる。
佳夢は窓ガラスに移った自分を見て、
不思議とため息が出た。
「あれ?なになに?ため息なんかついちゃって。」
「...悩み?」
妹達が心配そうにこちらを見ていた。
お前らに振り回されるこちらの身にもなれ、
とでも佳夢は言いたかったが、
それを言うと真夢がかなり落ち込むので言わなかった。
「悩みなんてねーよ。」
「知ってる?ため息一回ごとに幸せが一つ逃げてくんだよ?」
「...そんなの嘘に決まってるだろ。」
相変わらず、迷信とか伝説を信じて疑わない妹である。
そこが長所でもあるのだが。
「若長...、そろそろ帰りたいのだが。」
「俺も帰りてーよ。けど、こいつらが帰るまでは無理だろうな。」
樹はがっくりとうなだれる。
逃がしてやりたい気持ちもあるが、
佳夢は妹達の可愛さには逆らえない立場にあった。
四方八方、どこを向いても面倒なので、
また、窓の外に目を向ける。
日は沈み始めていて、
オレンジ色の空がきれいであった。
ただ、佳夢の目についたのは、
そんな美しいものではなかった。
考える前に佳夢は叫んでいた。
「伏せろ!」
その言葉に反応し、樹と九六が身をひそめる。
唯一遅れた真夢を庇うようにして、
佳夢はテーブルを跨ぎ、
真夢に覆いかぶさる。
それとほぼ同時に、
大きな窓ガラスを複数の弾丸が突き破る。
窓ガラスは割れ、発砲が止んだところで、
佳夢は顔を上げる。
窓の外側には、驚いてどよめく人々が見えた。
その中心に、機関銃を持った男がいた。
佳夢は店外に踏み出し、
男と対峙する。
男は機関銃の銃口をこちらに向けてきた。
それを見て周りの人々は逃げ出す。
遠巻きにそれを眺めている者もいる。
「鎌奈佳夢、発見。」
三十代ぐらいの男は、
感情のない平坦な口調で呟く。
「お前は誰だ。」
直立したまま佳夢は尋ねる。
「天都元喜。十八番目の〝月〟だ。」
言って、元気は懐からカードを取り出す。
「名刺なんすね、それ。」