複雑・ファジー小説
- Re: 【オリキャラ募集中!】鎌奈家の一族【是非見てね!】 ( No.179 )
- 日時: 2012/10/27 23:52
- 名前: 純金リップ (ID: Q.36Ndzw)
- 参照: 本編更新。
薄れていく意識の中、
佳夢はふと思い出した。
紅介から聞いた、連続殺人事件の話を。
今のところ三人が殺されていて、
三人とも同じ手口で殺されている。
さらに、大きな共通点として、
“鎌奈家”の一員である、という点があった。
これを見たとき、もしかしたら、と思った。
天都家に捕らえられた陣呉が、
この殺人を犯しているのではないか。
しかし、そうではなかった。
あの洋館にて佳夢を襲った人物は、
自分で天都家を名乗っていた。
天都長司。
その名を、佳夢はどこかで聞いたことがあるように感じた。
でも、思い出せはしなかった。
次に目が覚めた時は、自室ではなかった。
何処かで見たことのある白いベットで寝ていた。
「あ、起きた?」
ベッドの横に目をやると、
丸い椅子に萌華が座っていた。
「萌華?」
驚いて上半身を起こそうとすると、
激痛が全身を走る。
「ちょっと、無理しちゃ駄目だからね。」
萌華にしては珍しい、
心配そうな表情で言う。
佳夢は部屋の内部を見て、
ここが恵人の家であると判断した。
いや、萌華がいた時点で気づけたかもしれない。
「そうか、恵人さんが治療してくれたのか。」
心だけで感謝をして、目を閉じる。
「でも、佳夢君がこんなに怪我するなんて、珍しいわね。」
「昔はこれが日常茶飯事だったんだけどね。」
「へぇ。そうなの。」
萌華は意外そうな反応をする。
それもそのはずであった。
萌華は、佳夢の過去の事を知らなかった。
そのタイミングで、恵人が部屋に入って来た。
「お、目が覚めたかい、佳夢君。」
「おかげさまで。」
「それはよかった。」
「...本当に、助かりました。」
「最後に見た景色が階段じゃ、寂しいと思ってね。」
恵人はおどけるようにして薄く笑う。
「それに、礼を言うなら九六ちゃんにもだよ。彼女はいい子だ。」
「そうだよ。九六ちゃんが私たちに連絡くれたんだから。」
それを聞いて、佳夢はため息をつく。
きっと、後をつけてきたのだろう。
しかし、礼を言わなきゃいけないのは確かである。
今度なにか奢ってやろうと、静かに思った。
萌華は一旦部屋を出て、
恵人が代わりに萌華がいた位置に座った。
「佳夢君、話があるんだが。」
「はい?」
恵人は一瞬ためらってから、
口を開いた。
「天都長司。知ってるよね?」
「え、まぁ。」
それは、あの洋館で聞いた名である。
それがどうしたというのだろう。
「君に教えてあげよう。彼こそが虐殺師なんだ。」
「...え?」
「そして、刻夢君を殺した張本人なのさ。」