複雑・ファジー小説

Re: 【オリキャラ募集中!】鎌奈家の一族【是非見てね!】 ( No.199 )
日時: 2012/11/15 23:45
名前: 純金リップ (ID: Q.36Ndzw)

赤穂が拳銃を取り出すのと同時に、
裏夢は駆け出していた。
一般よりははるかに高い運動能力を持っていた裏夢は、
赤穂との間合いを一気に詰め、
腹部に蹴りを入れて、引き金を引かせなかった。
「オラァッ!」
流石に女性を蹴るのは躊躇う、
など悠長なことを考えている暇はなかった。

しかし、赤穂は少しふらつくだけで、
また体勢を立て直し、銃口を向ける。
裏夢もそれに瞬時に反応し、
赤穂の手首目がけて蹴りを放つ。
それがヒットし、拳銃が赤穂の手を離れ、宙を舞った。
「!」
赤穂が驚いている間に、
裏夢は拳を握りしめて、赤穂に向かって放った。
赤穂はそれをギリギリで避け、
後ろへと回り込む。

裏夢の背中を蹴りあげた赤穂は、
地面に落ちた拳銃を拾う。
顔を上げるよりも早く拳銃を裏夢のいる方向に向け、
素早く引き金を引いた。
響き渡る銃声。
しかし、裏夢には当たらなかった。
そこは運がいいというべきか、
運動神経の問題ではなかった。

赤穂を背中側に回したまま、
裏夢は、一軒家の周りを囲む塀目がけて走る。
ジャンプして、その塀を片足で蹴って、体を半回転させる。
その間に何回か銃声が鳴ったが、
だが、どれも当らなかった。
裏夢は地面に足を付けると同時に走り出す。

赤穂の目の前で地面を蹴って、
空中で回し蹴りを決め込む。
赤穂はそれを何とかガードしたが、
衝撃で二、三歩後ろに下がって、地面に尻もちを突いた。
裏夢は地面に降りると、大きく深呼吸をした。

「さて、えーっと、綺麗なおねーさんさぁ。」
赤穂を見下す姿勢で、裏夢は尋ねる。
「どうする?逃げる?」
「...は?」
「俺的には人殺しはしたくないんだよね。佳兄じゃねーんだし。」
「...で、逃がしてくれるってわけ?」
裏夢は聞かれて、即答で頷く。
「そういう事。」

少し間が開いて、赤穂が口を開く。
「嫌ね。そんなの。それに、君。」
赤穂が何かを言いかけたとき、
裏夢は完全に油断をしていた。
赤穂はハンドスプリングの要領で起き上がり、
一気に顔を近づけてきた。
「あまり天都家を甘く見ない方がいいわよ。」
裏夢は腹部に嫌な感触を感じて、
やがて、銃声と共に、裏夢は崩れ落ちた。
そして銃声は二発続いて、
近隣の住民が不審に思って集まってくるのに、
そう時間はかからなかった。