複雑・ファジー小説

Re: 【早速オリキャラ募集中!】鎌奈家の一族 ( No.2 )
日時: 2012/07/25 23:36
名前: 純金リップ (ID: EfKicuSN)

三月十四日。
鎌奈佳夢の過ごす、とある日常の一コマ。
「おっはよー、お兄ちゃん!」
「...おぉ、妹よ。」
いつもの様に朝起きてリビングに行くと、妹に声を掛けられた。
それ自体決して悪い事ではない。
その日が特別な日でなければ。

「いや〜、良い朝だね!」
「あぁ...、そうだな。」
「というわけでお返しをもらいに来ました!」
「さっきのセリフとどう繋がってんだよ。接続詞が意味を成してねぇよ。」
相変わらず日中問わず馬鹿であった。

鎌奈真夢。
十七歳。この時はまだ十六歳。女。妹。高校生。牡羊座のB型。
偏差値四十六。悪徳商売に引っ掛かった回数57回。
一族きっての単純思考。

「まぁそんなこと置いといてさぁ、お返し〜。」
「お返し...?はて、なんだっけなそれは。」
「とぼけんな!」
真夢は鎌奈の首に掴みかかる。
しかし、一つ下の女子高生の攻撃など佳夢にとってはそれはそれは回避しやすく、
上半身を逸らし、ひょいとかわす。
勢いよく空振りした真夢は、空中で三秒ほど浮かび、地面に落ちる。

「どーした。そんなもんか。」
「くっ...。馬鹿兄め...。」
悔しそうにつぶやく真夢を無視して、佳夢はその場を去ろうとする。
「諦めないからね!絶対諦めないから!バレンタインのお返し!三十倍で返してもらうから!」
「数がでけぇよ!」
思わず振り返ってツッコむ。

その後。妹と喧嘩してる間に出来上がったカップラーメンを持ち、二階へ上がる。
そして、長い廊下の途中にある部屋で立ち止まり、部屋をノックする。
「どうぞ。」
数秒後短い返事が聞こえたので、佳夢は遠慮なしに部屋に入る。

中では、薄暗い電灯ひとつが部屋を照らしていて、その中心にある机で、
一人の少女が休む間もなく勉強していた。

鎌奈菜夢。
十四歳。この時はまだ十三歳。女。妹。中学生。牡羊座のA型。
偏差値七十四。好きなことは勉強。嫌いなことは何もしないこと。
一族きっての勉強好き。

佳夢は机の上にそっとカップラーメンと箸を置く。
それを見て菜夢は顔を上げる。
「ありがと。」
それだけ言って、また顔を下げ、勉強し始める。
そんな妹を見て、呆れるように溜息をつく佳夢。

「お前、ホント勉強好きな。」
「何?悪い?」
ノートと向かい合ったまま菜夢は言う。
「悪かねーけどよぉ...。まだ受験生じゃないんだし、遊んで来たら?折角の春休みだぜ?」
「遊んでるわよ。月二回。」
「少ない!」

「そう言えば...。」
ふと思い出したように南無が顔を上げる。
「“ひいおじいちゃん”が探してたわ。」
「え?あの人が?」
その意外な人物に思わず驚く。
「えぇ。何やら話があるとか...。」
「うわぁ、行きたくねぇ。」
「行きなさいよ。」
「何故お前はそう上からなんだ。」
仕方なく、佳夢は菜夢の部屋を後にし、“ひいおじいちゃん”こと
鎌奈権砕のもとへ向かった。