複雑・ファジー小説

Re: 【オリキャラ募集中!】鎌奈家の一族【是非見てね!】 ( No.211 )
日時: 2012/12/29 00:06
名前: 純金リップ (ID: qUfyS13Y)

それを聞いて唖然としていたのは、
紘一だけではない。
後ろで泣いてた真夢も、
その隣にいた菜夢も。

ただ、二人はその事実に驚いたのではなく、
佳夢がそのことを話したことに驚いたのだ。

「俺は五年前、殆どばれずに殺人を犯してた。
でも、ある日を機に、殺人を止めた。
だから俺は、自首しようと思ったんだ。」

そこまで言って言葉をきる。
紘一の顔を見て、
辛そうな表情をしながら、
続きを語った。

「でも、俺を守るために、
刻夢兄さんが、俺より先に自首をした。
勿論、俺たちは止めた。違うと言い張った。」

だが、結果的に刻夢は死刑判決を下された。
それより前に、天都長司に殺されるのだが——。

「これが、あんたに謝らなきゃいけないこと。
だから、その、まぁ、俺のせいで——。」
妙に喋りにくいと思っていたら、
佳夢の頬を涙が伝った。

「...きっと刻夢は君の所為ではない、と言うだろう。」
紘一は佳夢に向かってそう言った。
「他人の僕が分かったようなことを言うのもなんだが、
多分、そう言うと思うんだ。」

——いつだって、そんな奴だった、
と、紘一は、ことあるごとに他人を庇い、
自分を犠牲にしていた刻夢の姿を思い浮かべる。

「俺の方こそ、本当にすまなかった。
そろそろ僕は、君たちの前から消えさせてもらうよ。」
「...そうしてくれ。」
ガラにも合わず泣き続ける佳夢に背を向け、
紘一はその場を去ろうとした。

「最後に一つだけ、聞いてもいいか。」
「ん?」
佳夢の呼びかけに、紘一は振り返る。
「なんで、押崖の家を燃やさせたりした?」

だが、意外なことに、
紘一は不思議そうな顔をした。
「俺はそんな事——」

そこまで言って、紘一は、
喋るのを止める。
「お、おい」

「ざんねーん。」
ゆっくりと紘一の体が前のめりに倒れ、
その人物が姿を現す。

「本当に残念でしたねぇ...。」
片手に持った刀を振り上げ、
鎌奈陣呉はにやりと笑う。

「陣呉!」
「お元気ですかぁ、佳夢さぁん。」