複雑・ファジー小説
- Re: 【オリキャラ募集中!】鎌奈家の一族【是非見てね!】 ( No.214 )
- 日時: 2013/01/06 23:21
- 名前: 純金リップ (ID: qUfyS13Y)
「僕は元気ですよ。こっちでうまくやってますから。」
陣呉はゆがんだ笑顔をこちらに向ける。
「でも、相変わらずだなぁ...。」
「うっ、うぅ....。」
紘一のうめき声に、
陣呉は顔を下に向ける。
虫の息となって苦しむ紘一と、
陣呉は目があったのだ。
その瞬間、陣呉は紘一の顔を思い切り踏んだ。
「うっ、うああああああああ!」
ミシミシと音がして、
紘一の顔が潰れかける。
「やめろ!陣呉!」
佳夢はあわてて駆け出す。
陣呉との間合いを詰め、
蹴りを放った。
陣呉はそれを、刀で防ごうとしたが、
刀が佳夢の脚に当たった瞬間、
まるで、細い枝の様に、
刀はお折られてしまった。
「——ッ!」
危険を感じた陣呉は、
紘一の上から離れ、
大通りに出る。
「待て、陣呉!」
佳夢も大通りに出ようとした瞬間、
紘一が佳夢の足首を掴んだ。
「なんだよ!行かせてくれ!」
駄目だ、と紘一は言いたかったが、
陣呉にうけた攻撃のせいで、
上手く喋ることが出来ない。
そうしているうちに、
佳夢は紘一の手を振り切り、
大通りへと走って行った。
大通りは時間帯のせいか、
人がかなり少なかった。
そのおかげで、
陣呉が見つけやすくなり、
佳夢にとっては助かる。
「どこだ...。どこに行った!?」
「ふぅ...、危ない。」
先程の路地裏から少し離れた、
大きなホテルの壁にもたれ、
陣呉は息を整えた。
佳夢からあれほどの殺気を感じたのは、
久しぶりの事であった。
「しかし、だいぶ感情的になったな——。」
それが分かっただけ、
陣呉にとっては嬉しかった。
「あ、陣呉君発見!」
一人で嬉々としていると、
どこからか元気な声が聞こえてきた。
陣呉を見つけ駆け寄ってくる少女は、
天都家の一員、音海であった。
「...んだよ、ロリ。」
「うわっ、ロリって!ひどっ!」
そう言いながらも、音海は
そうショックを受けていなかった。
「ロリはロリっしょ。もう二十歳超えてるんだろ?」
「設定上はね!陣呉君より年上!」
「あっ、そ...。」
どうでもよさそうに、陣呉は呟く。
そうしていると、もう一つ、
足音が聞こえてきた。
「ッ!陣呉!」
「げっ、見つけんの早っ。」
こちらに来る佳夢を見て、
陣呉は嫌そうな顔をする。
「陣呉君、逃げた方がいい?」
「そりゃ、逃げた方が...。」
「なら!私に任せて!」
そう言って音海は、
懐から何か玉のようなものを取り出す。
「それっ!」
それを地面に向かって投げつけると、
途端に煙があがった。
「煙玉っ!?」
佳夢は呆気にとられつつ、
近づいていく。
煙に包まれながら陣呉は、
佳夢に向かって話しかける。
「佳夢さん。それじゃ、改めて自己紹介を。」
「ちょっ、待て!陣呉!」
「私は日向音海!三番目の〝女帝〟だよ!!」
「僕は鎌奈陣呉。十五番目の〝悪魔〟さ。」
やがて、陣呉の姿は完全に見えなくなり、
何処かへと、消えてしまった。