複雑・ファジー小説

Re: 【オリキャラ募集中!】鎌奈家の一族【是非見てね!】 ( No.216 )
日時: 2013/01/07 22:40
名前: 純金リップ (ID: qUfyS13Y)
参照: 今回も長いッ!

「...ん、おいしい。」
苺を一つ口にして、
真夢が小さく言う。
「おいしいね、これ。」

「そうね、おいしいわ。」
正面に座っている菜夢も、
苺を食べつつ頷く。

「お兄ちゃん食べるかなぁ?」
「食べれない、って事はないでしょうけど...。」
少しためらって、菜夢は言う。
「食べてくれるかしらね。」
「う〜ん、だよねぇ。」


天都紘一の葬儀には、
数人を抜いた天都家と、
佳夢だけで執り行われた。

天都家の人々は佳夢を受け入れた。
天都家の主、天都五郎は、
「昔の因縁はどうでもいい。
紘一の友ならば、是非出てくれ。」
と、言ってくれた。

佳夢も紘一の友、
また、兄の代わりとして、
葬儀に参加することは、
それ程遠慮することではなかった。

棺桶に入っていた紘一の死体を見たとき、
まるで刻夢の死体のようで、
胸に何かがこみあげてきた。

葬儀に参加しなかった天都家は、
陣呉と長司と音海の三人だった。
天都家からしたら、そう珍しい事でもないらしい。

他にも元喜や義彦など、
佳夢が知ってる顔が何人かいたが、
特に何かあったわけではない。

鎌奈家に帰った佳夢は、
疲れ切った顔をしていて、
ふらりと、自室へ向かっていった。

それから三日間。
部屋から出ず、ベットに寝続けている。


「でもお兄ちゃん、ホント精神弱いよね〜。」
呆れたように真夢が言う。
「全くだわ。あれがうちの兄だなんて信じられない。」
「だよね〜。」

そう話していると、
部屋に誰かが入ってくる。
「あ、梓ちゃん。」
「真夢ちゃん、菜夢ちゃん。ちょっときて。」

梓に連れていかれた場所は、
権砕の部屋であった。
「連れてきたよ、ひいおじいちゃん。」
「おお、ありがとう梓。」
権砕はにっこりと笑う。

二人は権砕の前に正座し、
権砕が何か言うのを待った。
「いや、そうかしこまらなくてもいいんじゃ。」
そういわれても、ここで楽にしても、
なんだかやりにくい。

「佳夢の事だが...。今、ああいう状態じゃろ?」
「そうですね。」
「だから、二人ともアイツの事をちゃんと支えてやってくれ。
裏夢も九六もおらんし、夢我も阿美香もおらん。
だから、頼れるのはお前らだけじゃ。」

権砕は強い口調で言った。
「わかりました。」
と、菜夢は言う。
「わ、わかりました。」
真夢も、あわてて言う。

二人が部屋を出た後、
権砕は深いため息をついた。
「これからは、佳夢の力が必要じゃからなぁ...。」
「備えあれば憂いなし、ですよ。」
突如として後ろから聞こえた声に、
権砕は驚くも、振り向かない。

「お前の予言は、あたるからの。」
「えぇ...。百発百中、ですよ。」
権砕と背中を合わせて座る男は、
水晶玉を覗きながら言う。
「今年中に、天都家とのいざこざがおきます。」

「不協和音、ですよ。」