複雑・ファジー小説
- Re: 【オリキャラ募集中!】鎌奈家の一族【是非見てね!】 ( No.226 )
- 日時: 2013/01/11 23:14
- 名前: 純金リップ (ID: qUfyS13Y)
その日の朝は随分早く起きて、
まるで自分が今日の外出を楽しみにしてるようで、
留理は少し複雑な気持ちであった。
引きこもり始めて四年。
誰とも話さず、パソコンの画面だけを見て、
今日まで生きてきた。
もしネットを知らなければ、
こんな日常はなかっただろうなとたまに思う。
孤児院育ちの留理にとっては、
パソコンそのものが珍しく、
すごく興味を惹かれたのだ。
そんなネット中毒者の留理が、
上手く外の世界でやっていけるか。
恐らく、無理であろう。
所謂、留理は『働いたら負け』だと、
思っている人種なのである。
取りあえずベッドから出て、
パソコンを立ち上げる。
自分のブログを毎朝チェックするのが、
留理の日常だ。
今日もいろんな人からコメントが来ていて、
その一つ一つに丁寧に返す。
そこで、今日はどんなブログを書こうか、
少し考えた。
「まぁ、いいや...。」
今日は後程ブログを更新するとして、
パソコンを閉じた。
「うわっ、何、その格好?」
朝、佳夢の姿を見て、
真夢が驚きの声を上げる。
「なんだ。なんか変か?」
「いや、変じゃないけども...。」
普段服装を気にしない佳夢が、
もの凄くオシャレな服を着ているので、
戸惑ってるのだろう。
「...本当にどうしたの?」
「コーディネートは琥珀や菊花にしてもらった。
案外センスがあるもんだ、あいつら。」
「いや、なんというか、似合ってるのがムカつく...。」
「どうだ?シャレオツだろう?」
「どこの業界人だ。」
まじまじと佳夢を見つめながら、
真夢は尋ねる。
「でも、一体どこ行くの?」
「んー、なんつーか...。社会奉仕活動。」
「ごめん。意味が分かんない。」
「あれだよ、ヒキニートを更生させるんだよ。」
「お兄ちゃんの事じゃん。」
「コラ。真夢。」
ちょっと頭に来たので、
佳夢は真夢の頬を軽くつねる。
「親しき仲にも礼儀あり。言っていい事と悪い事がある。」
「いひゃい!いひゃいよぉ!」
あまりにも激しく痛みを訴えるので、
手を離してやる。
「もう!頬がちぎれるかと思ったじゃん!」
「そんなに強くつねってねーよ。」
「嘘だぁ!」
涙目になりながら真夢は、
頬をさする。
「でも、お兄ちゃんじゃないんだったら...。」
「留理だよ。留理。」
「あぁ、留理ちゃんか!」
納得したように真夢は言う。
「でも、大変じゃない?」
「あぁ、大仕事だ。だからこそ、成功させる。」