複雑・ファジー小説
- Re: 【オリキャラ募集中!】鎌奈家の一族【是非見てね!】 ( No.229 )
- 日時: 2013/01/14 21:23
- 名前: 純金リップ (ID: qUfyS13Y)
- 参照: すこし中途半端ですが...。
午前十一時になって、
その時は来たのだった。
出かけることは、留理にとっては、
戦地に行くことを意味するのであった。
戦地に行くという事は、
つまり、死ぬことを覚悟しなければならない。
出かける前になって、
鏡の前に立ち、一応チェックをしておく。
こんなんでいいのだろうか、
と不安が襲い掛かる。
しかし、先ほど佳夢は、
留理の事を褒めていた。
その時の事がフラッシュバックされ、
留理は決意をする。
玄関先では、
佳夢が腕を組んで待っていた。
留理にとっては、
久しぶりに浴びる日の光より、
そっちの方が気になった。
「待った?佳夢、さん。」
「いや、待ってないよ。それに、佳夢でいーよ。」
佳夢は親戚にさん付けされるのが、
あまり好きではなかった。
「えっと、じゃあ佳夢。今日は、どこに、行くの?」
「何処がいい?お前の好きなところへ行こうと思うんだが。」
そう言われて、留理は少し考える。
だが、何も思い浮かばない。
「どうする?どこでもいいぞ?」
「こ、この辺とか...。」
「この辺?まぁ、いいけど。」
「不満...?」
「はぁ?そんな訳ねえよ。お前のための外出だ。」
組んでいた腕を解き、
佳夢は歩き出す。
「ほら、いくぞ。」
歩きながら、佳夢は未だに戸惑っていた。
いくら親戚と言えど、
ロクに姿も見なかったので、
急に見違えるようになると、
内心すごく焦るのである。
沈黙を保ちながら歩き続ける。
やがて、駅の近くの商店街に来た。
「あ、この辺は人が多いから。あんまはぐれんなよ。」
「う、うん...。」
何故佳夢がこの商店街に来たかというと、
この辺は色々なものがそろっており、
選ぶ手間が省けるからだ。
「いろんな、店があるね...。」
「うん。なんか気になるとこがあったら言えよ。」
と、言った瞬間。
留理の足が急に止まった。
留理の視線の方向を見てみると、
そこは本屋であった。
「あそこに行きたいのか?」
そう聞いてみるが、
留理は無言で、小走りで本屋へ向かっていく。
「おい、留理...。」
そしてまた急に止まり、
店頭に置いてある本をじっと見つめた。
「すごい!これ、人気の本、なの!」
「あぁ...。それは...。」
そこにあるものは、
どれもボーカロイドの曲から派生した、
人気の本の数々だ。
佳夢が呆然とする中、
留理はとても嬉しそうだ。
それをみて、少しほっとする。
佳夢達が家を出る少し前、
家を出た人物がもう一人いた。
押崖愛子は暇潰しにと、
商店街を一人で散策していた。