複雑・ファジー小説
- Re: 【オリキャラ募集中!】鎌奈家の一族【是非見てね!】 ( No.233 )
- 日時: 2013/01/27 23:25
- 名前: 純金リップ (ID: 5Yz4IUWQ)
「だからさ、俺は留理の双子の兄で、
俺だけ孤児院に残されて、色々バイトとかしてるわけ」
商店街を出た通りのベンチに座りながら、
佳夢と留理は蓮の話を聞いていた。
因みに、ベンチは一つしかないので、
三人で横に並んでいる。
蓮は自分を留理の双子の兄と謳っているが、
蓮と留理はあまり似ていない。
なので、言ってることが本当かは怪しい。
それに、留理に聞いても「忘れた」と言ってるので、
真偽は謎に包まれたままだ。
「あ!そうだ!孤児院行って聞けばいいじゃん!」
思いついたように蓮が言う。
「院長先生だったら、分かってるはず!」
「面倒だな。却下だ」
佳夢はショートケーキを頬張り、言い放つ。
「いや...、お前に却下の権利はないと思うが...」
「そうか?」
「てか!お前は!留理の何なんだよ!」
勢い良く立ち上がって、
蓮は佳夢を指さす。
「もしかして恋人とかじゃなかろうな!俺は認めんぞ!」
「はぁ?うるせえよシスコン野郎」
「じゃあ何なんだよ!?」
「いとこだよ、いとこ。」
それを聞くと、蓮は納得したようで、
呼吸を整えながら、ベンチに座る。
台風の目である留理は、
他人事のように蓮と佳夢の間で、
ショート—ケーキを食べ続ける。
「はぁ...。もういいや、留理も思い出しそうにないし」
「てかさー、蓮君さー、どうにかしてくんね?」
「はぁ?何を?」
「おたくの妹さんさ、ヒキニートなんだけど」
それは言われたくなかったようで、
留理は急に焦りだす。
「そうなのか!?留理!」
再び立ち上がる蓮。
「ならば、俺がどうにかしないとな...」
「いや、いいから、ホントに...」
必死に訴えるが、蓮は聞く耳を持たない。
佳夢は関係なさそうに、別方向を見つめる。
蓮はしばらく考えるそぶりをして、
手をポンと叩いた。
「そうだ!俺が、お前らの家に行けばいいのか」
「は?内臓取り除くぞお前」
「なんで!?」
佳夢は立ち上がって、留理の手を引く。
「行くぞ、留理」
「う、うん...」
「おい、待ってくれ。もう少し留理と話を——」
引き留めようとする蓮をよそに、
二人は歩き出す。
少し進んで、佳夢は立ち止まり、
蓮の方を振り返った。
「また今度、出直して来い。
こいつの世話するなら、受け入れてやる」
それだけ言うと、再び佳夢は歩き出す。
「なぁ、留理。本当にアイツの事憶えてないのか?」
「うん。記憶に、ない。あんな人...」
「引きこもってるからだよ、馬鹿め」
「ばっ、馬鹿って...」
ため息をついて、佳夢は留理の頭を小突く。
「これでわかったろ。
いいか、部屋から出なきゃ、
蓮とも再会できなかったんだぞ。」
「...」
「本も買えなかったし、
ショートケーキも食えなかった」
「そ、そうだけど...」
「まだ遅くねーから、な」
そう言って、佳夢は留理の頭をなでる。
「!?」
顔を赤くして俯く留理に、
佳夢も恥ずかしくなる。
「よし、じゃ、家に帰ろう」
こうして、留理の引きこもり問題は解決された。
佳夢の知らない所で、
佳夢自身が新たな問題を作ったことにも気づかず...。