複雑・ファジー小説

Re: 【オリキャラ募集中!】鎌奈家の一族【是非見てね!】 ( No.236 )
日時: 2013/01/28 23:27
名前: 純金リップ (ID: 5Yz4IUWQ)

二人が家に帰ったのは午後四時ごろだった。
もしかしたら蓮がいるのではないか、
と思ったが、そんなことはなかった。

家に入って佳夢は自分の部屋に向かっていた。
しかし、急に前に出てきた菜夢が、
それを遮ったのであった。

「なんだ、久しぶりの登場じゃないか、菜夢」
「そうね。ひさしぶりだわ」
いつもと変わらずクールな菜夢は、
髪をなびかせながら近づいてくる。

「え、なに?」
「単刀直入に聞くわね。愛子さんになにをしたの?」

佳夢はその質問の意味が分からず、
首を傾げた。
「なんだよ。押崖がどうかしたのか?」
「押崖がどうかしたのか、ですって?」
菜夢は鋭い目つきで、佳夢を睨んだ。

「...わからないの?」
「なにが?」
「本当にわからないようね。」
ため息をついて、菜夢は逆方向を向いて歩き出す。
「ついてきなさい」
兄に向かって命令口調は如何なものか、
と内心思いながら、佳夢は歩き出す。

菜夢は台所のすぐ近くにある、
リビングまで佳夢を連れてきた。
「ほら、あれ」
菜夢がリビングを覗き込むので、
佳夢も同じようにする。

そこには、椅子座って、
ぼうっとしている愛子の姿があった。
「...押崖、だな」
「帰ってきたときからああなの」
「体調でも悪いのか?」
菜夢は首を振る。

「そうじゃないみたい。
出かけた先で、何かあったのかしら」
「聞けばいいじゃないか」
「聞ける勇気があるなら、そうしてるわ」

菜夢と佳夢は顔をひっこめると、
向かい合って、相談した。
「どうする?」
「どうするも何も...」
「やっぱり、ああいうのはほっといた方がいいのかしら?」
「知らねえよ。ま、そういう時もあるだろうが」

役に立たない兄の言葉に、
菜夢は呆れた。
「本当、役立たずね」
「お前さぁ、ちょっと自重しよう」
「今からでも遅くないわ。役に立ちなさい」

そう言って菜夢は、
佳夢の背中を蹴る。
「うおっ!」
普段ならそれ位じゃ微動だにしない佳夢だが、
まさか来るとは思っていなかったので、
その勢いでリビングに入る。

「うあっ!?佳夢君!?」
愛子は驚いて、椅子から立ち上がる。
「...よう」
片手をあげて挨拶するも、
愛子は返さない。

「お、押崖?」
「えっと、その、今はちょっと...」
愛子はそう言って、
佳夢を目を合わさないように去って行った。

愛子とすれ違うように入って来た菜夢は、
立ち尽くす佳夢を見て、
何度目かのため息をついた。
「完全にあなたが原因ね。佳夢兄さん」