複雑・ファジー小説
- Re: 【オリキャラ募集中!】鎌奈家の一族【是非見てね!】 ( No.245 )
- 日時: 2013/01/30 23:24
- 名前: 純金リップ (ID: 5Yz4IUWQ)
「ねえ、お兄ちゃん」
「なんだ、真夢よ」
ある部屋の前で、佳夢と真夢は、
じっと立ち続けていた。
「本当に、更生させた?」
「そう、だと思う」
「頼りねえな!」
叫びながら真夢は、
佳夢の脇腹にローキックを喰らわす。
「痛っ!」
「駄目じゃねーかこの野郎!」
「てめえ、兄に向かってこの野郎とは...」
佳夢が掴みかかろうとしたその時、
留理が部屋から出てきた。
「お、留理」
「留理ちゃんおはよー」
留理は、しばらく俯く。
「...おはよう」
小さく放たれたその挨拶を、
二人は聞き逃すことなく、
少し安心できた。
「ま、ああやって人と接する事が
出来るようになったのはいいことじゃないか?」
「そうだね。まだ、時間はあるしね」
とは言え、佳夢はまだ不安ではあった。
あの状態で人生をやり直すというのは、
かなり大変なことであると分かっていたからだ。
それを指せるのが佳夢の役目ではあるが、
これからどうするかなど、
あまり考えてもいなかった。
留理の姿を確認した後、
佳夢は二度寝するために、自室をめざし、
廊下を歩いていた。
曲がり角の向こうから、
足音が近づいてくる。
「お!佳夢じゃんか!」
そして出てきた椎名蓮は、
片手を挙げて、気軽に挨拶をした。
「よう!」
椎名蓮
十八歳。男。いとこ。学生。牡牛座のA型。
経験したバイトの数、二十。その内、命を危険にさらした数、十三。
一族きってのいろいろすごい人。
「なんだ。シスコンじゃないか」
「いや、シスコンじゃねえよ。俺の代名詞みたいにするな!」
「えっと、じゃあ、居候?」
「さらにひどい!」
そうは言うけれど、
いくら留理の双子の兄と言え、
立場上はそんなものである。
しかも、本当に留理の兄なのかも怪しい。
「てか、なにしれっとここに住んでるんだよ」
「あん?いいんだよ、権砕って人に許可貰ってるし」
「くっ...」
一家の大黒柱が許可したなら、
佳夢も口をはさめない。
「まぁ、仲良くしようぜ。佳夢さんよ」
「お前、いつか妹連れて出てけよ」
「だから!仲良くしようと言ってるじゃん!」
付け加えておくと、
別に佳夢は蓮が嫌いではない。
「お前、俺に対する扱い酷いって!
あの、同じ居候の押崖?って子には、すごい優しいじゃん!」
「はぁ?俺は誰に対しても差別しねーよ」
「すごい嘘っぽい...」
勿論、嘘である。
佳夢は蓮に愛子の話を出され、
愛子の事を思い出し、
すこし、戸惑った。
先日の態度からして、
何かやってしまったのは間違いない。
しかし、未だ見当もつかず、
聞き出そうにも聞き出せない。
「あ、そういやさ...」
「なんだよ」
「家の前でお前の事待ってる奴がいたぜ?」
蓮がおかしなことを言うので、佳夢は首をかしげる。
今日は、誰とも待ち合わせはしてない。
「いや、めっちゃ可愛い女の子でさ...」
佳夢はその言葉に反応する。
「ちょっと待て。ひとつ聞くぞ。
そいつ、女にしか見えなかったか?」
佳夢におかしなことを聞かれて、蓮は首をかしげる。
答えられずにいると、
催促するように、もう一度聞いてきた。
「女にしか見えなかったか、と聞いてるんだ」
「あ、あぁ。そりゃ、女にしか見えなかったぜ。
なんか、オシャレなオープンカーに乗っててさ」
「それ以上はいい。だいたいわかった」
佳夢は駆け足で、家の前を目指す。
「おい!教えてやったんだから、礼くらい——」
蓮は追おうとしたが、
途中、見失ってしまい、
それ以上は追えなかった。