複雑・ファジー小説
- Re: 【早速オリキャラ募集中!】鎌奈家の一族 ( No.25 )
- 日時: 2012/07/29 22:03
- 名前: 純金リップ (ID: EfKicuSN)
菜夢に首根っこを掴まれ裏夢が連れて行かれたのは、
他でもない菜夢の部屋だった。
そこに入ってやっと解放され裏夢は久々に呼吸をして、菜夢を振り返る。
「なーちゃん!」
すると裏夢の口の前に手が添えられた。
「黙りなさい。」
冷たく言い放たれた言葉に裏夢は思わず黙る。
「いい?裏夢兄さん。今佳夢兄さんは彩奇さんが殺されて傷ついてるの。
さらには犯人への復讐も考えてるくらいよ。」
「...で、なんだよ?言いたいことははっきり言ってくれ。」
「それなのに勉強教えてほしいって頼みに行くとか、どんだけ無神経なの?」
「ぐはっ。」
裏夢はショックのあまり床に膝をつく。
「まさか妹からの悪口がこうも傷つくものとは...。」
新たな発見に驚きを隠せない裏夢の肩に、
菜夢の手が置かれる。
「安心しなさいな。勉強なら私が教えてあげるわ。裏夢兄さん。」
「さらに傷つく...。」
「それに...。」
菜夢は裏夢の肩から手を放すとその手をはらいながら言う。
「あの時の彩奇さんの殺され方...。刻夢兄さんの時と似てるわ...。」
「え?お前今なんて言った?」
驚いた裏夢は立ち上がりながら聞き返す。
「だ、か、ら。」
菜夢は顔を裏夢にぐいっと近づかせる。
「刻夢兄さんの殺され方と似てる、って言ったのよ。」
三月二十日。
珍しく夜遅くまで勉強したからか、まだ眠い。
それでも佳夢は重い体を引きずりながらリビングへ向かう。
そこへ行くと真夢と菜夢が二人して朝食をとっていた。
「あ、お兄ちゃん。おはよう!」
「おはよ、佳夢兄さん。」
「ああ、おはよう、お前ら。」
「あのねお兄ちゃん。」
「ん?」
「菜夢ちゃんと話してたんだけどさ。」
「ま、真夢姉さん...。」
「え、話しちゃまずい?」
「なんだよお前ら。ちゃんと話せよ。」
佳夢がそう言うと、二人して黙って、先に菜夢が切り出した。
「その、佳夢兄さんが探している彩奇さんを殺した犯人の件で——。」
しかし、菜夢はそこから先を言わず、代わりに真夢が取り次いだ。
「それでね、お兄ちゃんに協力しようって思ってんの。」
「協力って...。具体的に、どう協力してくれるんだ?」
「犯人を殺すの。」
佳夢は口に含んだ味噌汁を思わず吹き出しそうになった。
「何驚いてんの?犯人捜して、復讐するんでしょ?」
「誰が言ってんだよ、そんなこと。」
「菜夢ちゃん。」
真夢は言って、自分の横に座る菜夢を指さす。
菜夢は平然とした顔で、何事もないように座っていた。
「菜夢よ。デマを流すのはやめてもらおうか。」
「デマじゃないでしょ。私は菊花さんと佳夢兄さんが話してるのをたまたま聞いただけだし。」
「このアマ...。」
思わず殴りかかりそうになり、そんな自分を抑える佳夢。
呆れてため息も出ない状態で、箸をそっと置いた。
「まぁいいや。お前らに嘘ついても仕方ないしな。それは本当だ。復讐はする。」
「へぇ、本当にするんだ。だったら、私と菜夢ちゃんも——。」
「いや、お前らの助けはいらない。」
「え...?」
「お前らがいても、足手まといなだけだ。」
佳夢はそう言い捨てて、手を合わせた。
「ごちそうさま。」