複雑・ファジー小説

Re: 【オリキャラ募集中!】鎌奈家の一族【是非見てね!】 ( No.250 )
日時: 2013/02/02 00:08
名前: 純金リップ (ID: 5Yz4IUWQ)

一方、鎌奈家にて。

「佳夢兄さんに、彼女?」
唐突な質問に菜夢は若干戸惑っていた。
「それはないんじゃなーい」
隣に座った琥珀が、ニヤニヤしながら答える。

テーブルを挟んで座った、
愛子と菜夢と琥珀は、
真ん中に菓子を置きながら、
所謂、ガールズトークなるものをしていた。

「愛子さん、どうしてそんなことを気にするの?」
「えっ...」
クールな態度を装いつつ、
菜夢はテーブルの上に身を乗り出す。
「どうして、そんなことを気にするの?」
「私もそれが気になるなー」
琥珀も隣ではやし立てるように言う。

顔を赤らめて俯いた愛子のそぶりは、
女子の二人から見ても可愛いものだった。
「いやぁ、青春ですなぁ」
「青春ね」
「も、もう!違うって!そんなんじゃ...」
否定しつつも、
愛子の顔は耳の先まで真っ赤だ。

「でもさ、菜夢。佳夢さんに彼女なんか居るの?」
「さぁ。聞いたことないわ。
でも、できても言わないでしょうね」
答えてから菜夢は愛子の方を向きなおる。
「ていうか、そういうプライベートなことは、
学校が一緒の愛子さんの方が詳しいんじゃない?」
「うっ...」

しかし、それほど学校で愛子と佳夢は話さない。
そもそも一緒に暮らしてることを内緒にしてるので、
あまりおおやけでは話さないのだ。
ついでに言うと、鎌奈家は他からは
孤児院として見られてるところもあるので、
別に話してもさほど恥ずかしくはならない。

「ひとつ聞くけれども、愛子さん」
「?何かな?」
「もしその人が彼女だったら、
愛子さんはどうするの?」
思わず愛子は黙り込む。
答えに迷ったのではない。
答えはすでに見つかっていても、
それを言いたくないというか、
あまり認めたくないと言うのが本音であった。

重い空気に耐えられなくなったのか、
おどけた口調で琥珀が喋り始めた。
「でも、佳夢君モテるよねぇ。
もしその人が本当に彼女だったら、私襲っちゃうかも」
「怖い事は言わないで、琥珀」
「仕方ないじゃん。もう佳夢君は
女を落とすためにいるようなもんでしょ?」
「一応あれでも私の兄なの。事実だけど言わないで」

ここにきてまでもこの二人はぶれないな、
と愛子は思いながら、椅子から立ち上がった。
「どこかいくの?愛子さん」
「うん、ちょっと、勉強しに...」
「そう。それなら私は止めないわ」

部屋を出て愛子は、
頭の中で菜夢の質問を噛み締めながら、
自分の気持ちをどうするか考えた。

そんなことをしながら歩いてたからか、
愛子は人にぶつかった。
「きゃっ」
愛子は思わず声をあげたが、
相手方はいたって冷静に、
愛子に手を差し伸べた。
「大丈夫ですか?」

平坦で感情のこもっていない口調は、
菜夢とはまた違うクールさを感じた。
クールというよりか、ドライだ。
その手を取って、愛子は立ち上がる。

そして顔を見てみると、
意外——と言ってはなんだが、女の子だった。
「怪我は?」
「あっ、ないです。ごめんなさい。ぶつかっちゃって...」
「いえ、大丈夫です」

そう言ってその女は、
そのまま去ろうとした。
「ちょ、ちょっと待って」
呼び止められて女は振り返る。
「なんでしょうか?」
「えっと、この家の人だよね?名前教えて?」



「私は、古見咲、といいます」