複雑・ファジー小説
- Re: 【オリキャラ募集中!】鎌奈家の一族【是非見てね!】 ( No.258 )
- 日時: 2013/02/03 22:28
- 名前: 純金リップ (ID: 5Yz4IUWQ)
- 参照: ちょい長いので注意
「まぁ、実際は私の能力じゃないがな」
気怠そうな顔でタタネは説明する。
もう何度目かの説明なのだろう。
「実際はある奴から奪ったんだ」
「奪った...?」
「そう、奪った」
そんな漫画のようなことが出来るのか。
光は漫画はたくさん読んでいるが、
そう簡単に何でも受け入れる性格ではなかった。
「誰から?」
「忘れた。今まで沢山奪ってきたから。なぁ?」
同意を求めるように、
佳夢の方を見るタタネ。
今度は佳夢が顔をしかめる。
「そうですね」
佳夢がタタネを苦手、というか、
やりにくいと感じるのには、
そのタタネの‘能力’にもあった。
いつだったか、
タタネが実家に戻ってきたとき、
佳夢とタタネは、二人きりで夕食の片づけをしいたのだった。
台所で数十人分の皿を
鼻歌交じりで洗い終えると、
終始無口だったタタネが、
いきなり佳夢に話しかけてきた。
「お前、超能力とか好きか?」
佳夢の顔は見ずに、タタネは聞いた。
また、佳夢もタタネの顔を見ていなかった。
「——はい?」
言ってることの意味が分からず、
佳夢は、超能力?と聞き返した。
「そうだ。超能力」
「好きか嫌いかだと、嫌いですね。
信じられないっつーか、あってもいらない、って感じですね」
佳夢は素直に答えた。
「そうか。正直私は、お前の能力に興味があるんだがな」
「タタネさん、何言って——」
からかってるのか判断しづらかったので、
佳夢はタタネの顔を見ようと顔を向けた。
その時。
両肩を勢いよく押され、
佳夢は床に押し倒された。
「タ、タタネ、さん...?」
佳夢の腹部に馬乗りになり、
タタネは人差し指を、佳夢の首元に置いた。
「私には、そういう能力があるんだ。
化学なんかじゃ証明できない、
そう言う能力が、だ」
佳夢はただ、黙るしかなかった。
女子を下から見上げる。
そのアングルは最高で、
一学生としては夢にまで見たシチュエーションだ。
だがタタネの表情が、
冷酷そのもので、色っぽさも感じられないため、
佳夢は只ならぬものを感じていた。
「いつからかはわからない。けど、気付けば使えていた」
タタネはさらに続ける。
「私の能力は、他人の才能を見入って、
奪ったり開花させたりするものらしい。
それも、いろんな形でな」
タタネは人差し指を、
佳夢の肌の上で滑るように動かし、
首元から顎へと移動させた。
「例えば——他人の能力を自分のモノにしたり、な」
その時、タタネが笑うのを
佳夢は初めて見た。
タタネの指はさらに移動し、
佳夢の顔の色々なところを通り、
最終的におでこの上で落ち着く。
タタネはしばらく目を瞑って黙りこみ、
すっ、と目を開けた。
「なるほど。お前の能力は、ソレか」
「は、はあ?」
次の瞬間。
突然の痛みが、
佳夢の全身を走る。
「!!」
やがて、その痛みはどんどん激しくなる。
「ぐあああああああああああああああああ!!」
「男なんだから、それくらい我慢しろ」
「いってえええええええええええええええ!!」
激しくなる痛みに対して、
佳夢は大きな叫び声をあげる。
実はこらえようと思えばこらえられるが、
しかし、こう大声を上げた方が、
誰か助けに来ると思ったのだ。
だが、誰も台所には来ない。
そんな佳夢の意図を見透かしたかのように、タタネは言う。
「叫んだって誰も来ないぞ。能力で、聞こえなようにしてるから」
「...くっ!」
「ったく、仕方ない奴だな」
タタネは呆れた表情で、長い髪をかきあげる。
「もっと痛くしてやろうか」
もう佳夢の知るタタネなど、どこにも居ず
人のフリをした鬼がいた。
