複雑・ファジー小説

Re: 【オリキャラ募集中!】鎌奈家の一族【是非見てね!】 ( No.265 )
日時: 2013/02/06 23:49
名前: 純金リップ (ID: 5Yz4IUWQ)

「痛いなー、佳夢君」
そこにいたのは紛れもなく咲だが、
佳夢は一瞬、それが本人か疑った。
少なくとも佳夢の知る咲は、
男子に抱き着いてはしゃぐ様な女子ではなかった。

また、愛子も疑問に思っていた。
先程愛子があった咲は、
落ち着いていて、冷静な人物であった。

この古見咲、という人物は、
かつて殺人鬼である佳夢を受け入れ、
ともに陣呉と戦った勇敢な少女だ。

ただ、今は佳夢の知る咲も、
また、愛子の知る咲も
そこにはいなかった。

「女の子突き飛ばしちゃ駄目でしょ?」
「いや、てか、あの...」
なんと言葉を掛けていいのか分からず、
とりあえず佳夢は手を差し伸べる。
「あ、ありがと」
その手を握って、
咲は嬉しそうに笑いながら立ち上がる。

それと同時に咲は、何かに気付く。
「あ...」
咲の目線は佳夢の後ろの愛子に向いている。
「え、えっと、あー...」
「ま、また会いましたね」
愛子が笑い掛けると、
咲は顔を赤くしてその場にへたり込む。
「何してんのお前」
何故そうなったのか分からず、
佳夢は首をかしげる。

「え?何?押崖、こいつ、なんでこうなってるの?」
「さ、さぁ...」
愛子は予想ぐらいはしていたが、
話してもあってないと思うので、
首を振ってごまかす。
「やっちゃった...」
咲は、誰にも気づかれず、そう呟いた。


「成程。今お前はそういうキャラだと」
「キャラじゃないってば!」
咲の部屋で机をはさみ、話を聞いた佳夢は、
くだらないな、と心底思っていた。
どうやら、ここに来なかった間に何かあったらしく、
普段は、冷静沈着なのだという。

「その割に、俺に抱き着いてきたのはなんでだ?」
「え、えーっと...、なんとなく?」
「そうか。咲、ところで俺最近激辛料理に凝ってるんだが——」
「ごめんなさい」
顔の前で両手を合わせて、
咲は謝る。
咲は激辛料理が苦手なのだ。

「てか佳夢君!別に悪い事じゃなくない!?」
ハッとしたように咲は言う。
そのテンションの高さに、
佳夢は思わずたじろぐ。
「むしろ、喜ぶべきじゃない?」
「...」
そう言われればそうではあるが、
特にこれといった理由はないので答えない。

何かを思いついたように咲がポンと、手を叩く。
「分かった!愛子さんに見られて恥ずかしいんだ」
「咲、実は友達からもらった激辛饅頭があってな——」
「そうなんでしょ?佳夢君?」
今度は先は脅しも通じずに、
茶色い瞳で、佳夢だけをじっと見ていた。

「...咲?」
「ふうん、ああいうこがタイプなの?」
「はあ?」
「佳夢君は」
いきなり先は、机の上に身を乗り出し、
こちらに顔を近づけてくる。
「佳夢君は、私のなのに」

佳夢の頬を冷や汗が伝い、
ついに逃げ出そうとしたその時——。
「よ、佳夢君」
そう言って入って来たのは、
愛子だった。
「あ」
「あ」

「...ノックしないで、ごめんなさい」
愛子はそう言って、気まずそうにドアを閉める。
佳夢は言い訳しようとせず、
追いかけることもしなかった。
この状況じゃ、何もかも意味ないだろう。

咲もそっと姿勢を戻し、
沈黙する。
「ごめん...佳夢君。調子乗りすぎた」
「あ、うん、別にいいや」
「あと、私、陣呉君の方が好きだから」
「...そう」