複雑・ファジー小説
- Re: 【早速オリキャラ募集中!】鎌奈家の一族 ( No.27 )
- 日時: 2012/07/30 14:58
- 名前: 純金リップ (ID: EfKicuSN)
「もー!なんなのあのバカ兄は!」
菜夢の部屋にて。
真夢は悔しさのあまりなのかは分からないが、
地団駄を踏みながら叫んだ。
「折角協力するって言ってるのにぃ!」
「落ち着いて真夢姉さん。今はそう焦るべきではないわ。それにあの脳内空洞化を進めている馬鹿は、ある失敗をしたわ。」
「失敗?」
「ええ。」
菜夢は腕組みした手を解いて、冷たい声で言った。
「私を怒らせたわ。」
「全く...、何考えてるんだあの妹達は...。」
アスファルトの道を歩きつつ、佳夢は呟く。
「復讐を手伝うとか、意味が分からんぞ。誰に似たんだか...。」
その時、後ろから誰かが佳夢の肩を叩く。
振り返ると同時に強く握られた拳が飛んできた。
それをギリギリで避け、佳夢はコンクリートの壁に背中を付ける。
しかし、それと同時に今度は蹴りが飛んできた。
佳夢はそれも避けたが、横に跳んだため
起き上がるまでのタイムロスを必要とする。
その時間わずか二秒。
それだけの時間で間合いを詰められ、
彼が佳夢の前に姿を現した。
「よう。佳夢っち。」
斧間真呉。
三十五歳。男。叔父。会社員。牡牛座のB型。
表彰された回数、95回。表彰されたジャンル、95個。
一族きっての万能タイプ。
「元気しちゃってる?」
三十代とは思えない若々しい笑顔で、佳夢にサムズアップをする真呉。
「ええ、元気してますよ。」
「そうか。いやぁ、そりゃー、何よりだ。」
「真呉さんこそ元気そうですね。あ、イギリスどうでした?楽しかったですか?」
「おうよ!ちゃっかりエンジョイしてきたっつーの。お土産もあるんだぜ。」
そう言って真呉は鞄から何かを取出し、佳夢の手の上に置く。
それは、エッフェル塔のミニチュアであった。
「...なんか、どっかの雑貨屋に行けばありそうですね。これ。つーか、エッフェル塔はフランスじゃないですか!」
「おう。なにせ今しがた雑貨屋で買ってきたからな。」
得意げに話す真呉だが、内容は誇れるものでは全くもってない。
「そういえば...。」
急に顔つきを変え、真呉は佳夢に尋ねた。
「彩奇っちが殺されたつーのは、マジなのか?」
「あ...。えぇ、マジです。」
「そうか...。残念だな。」
本当に残念そうに言う真呉。
「しかし、あの彩奇っちが、ねぇ。死んでも死ななそうなボクッ娘だったのにな。」
最後にボクッ娘を付けるところが真呉らしいと、佳夢は感じた。
こんな親から陣呉が生まれるとは考え難いと前々から思ってはいたが、
しかし今の真呉の表情を見ると、納得できそうな佳夢であった。
「で、殺された、と言うからには、そこに犯人がいるんだろう?」
「えぇ。自殺でできるレベルじゃない死に方でした。それに——。」
そこまで言って、一旦言葉をきる。
「それに?」
暫く躊躇して、佳夢は諦めた。
今更後悔しても仕方ない、と悟って。
「刻夢兄さんと、死に方が一緒だった。」