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複雑・ファジー小説
- Re: 【オリキャラ募集中!】鎌奈家の一族【是非見てね!】 ( No.274 )
- 日時: 2013/02/21 00:12
- 名前: 純金リップ (ID: 5Yz4IUWQ)
- 参照: 本編ですよ
「で、アンタなにしにきた?」
涼しげな夏の夜に、
芝の生い茂る庭に正座させられたスーツの男に、
佳夢は問い質す。
「え、えっと...」
男の方が年上なのは間違いないが、
まるで叱られた子供の様に言葉を詰まらせる男に、
佳夢は少しイラつく。
「私、こういうものです」
男はスーツの胸ポケットから一枚のカードを取り出す。
それを前に差し出された佳夢は、
受け取る前にそこに描かれた絵柄に目をやる。
「...魔術師、か」
「ええ。私、一番目の〝魔術師〟の天都貴弘と申します」
「うん、知ってる」
佳夢は紘一の葬式に参加した時、
一度貴弘の顔を見たことがあり、
名前くらいは知っていた。
「俺が聞いてるのは名前じゃなくて、何をしにきたかだよ」
「え、えぇ...。それ聞いちゃいます?」
「いいから話せ。さもなくば通報するぞ」
そう言いながら、佳夢は携帯を構える。
「あっ!いや、話しますから!やめてください!」
貴弘は必死に懇願する。
その姿は惨め以外の何物でもなかった。
「えっと...、ある人に頼まれてですね...」
「ふうん。ある人?それは天都家の人物か?」
「ま、まあ。そうですね」
首まである長い髪を触りながら、貴弘は答える。
「それは誰だ?天都長司か?」
貴弘はかぶりを振る。
「え?長司さん?彼は違いますよ」
それなら誰だ、と聞く前に、
貴弘は答えた。
「今回の首謀者は、夕子さんです」
「はあ?誰だよ?」
「19番目の〝太陽〟の人です」
「...いやわからん」
佳夢は紘一の葬式の時のことを思い出すが、
そのような人を紹介されたか、
憶えていなかった。
「そりゃ、あの場にはいませんでしたから」
佳夢の考えてることを見通す様に貴弘は言う。
「ま、夕子さんは気紛れですから」
困ったように呟く貴弘の目は、
光の宿っていない憂鬱な目となっていた。
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