複雑・ファジー小説

Re: 【オリキャラ募集中!】鎌奈家の一族【是非見てね!】 ( No.275 )
日時: 2013/04/25 23:10
名前: 純金リップ (ID: GMKAzVcQ)
参照: 本編でーすよ

「ま、いいや。そいつが何者かは」
とりあえず首謀者は分かったとので、
佳夢は質問を変える。
「目的はいったいなんだ」
「...言った方がいいですか」
「当たり前田のクラッカーだろうが。言え」

強めに言う佳夢に少し怯えながら、
それでも答えようかどうか迷い、
貴弘は口ごもる。
「ほら、はやく」
さらに催促すると、貴弘は完全に黙ってしまった。

「ま、まぁ、ちょっと待とうよ佳夢君」
そんな貴弘を見かねて、
愛子が助け舟を出す。
佳夢も愛子のお願いだけあって、
反論はしない。


その後、権砕がやってきて、
貴弘と話をするらしく、
鎌奈家の中心人物たちと、
部屋へ貴弘を連れて行った。


そして佳夢はどうしたかと言えば、
まだ外に残って、木に寄りかかりながら、
電話をしていた。

その姿を縁側で隠れて見ていた愛子は、
何やら重い表情をしていたので近寄りがたく、
佳夢が誰と話していたのか、聞けなかった。

電話を終え、佳夢が家に戻ってくるのを見て、
愛子は急いで逃げようとした。
しかし、反応が遅かったため、
曲がり角の向こうに逃げる前に、
佳夢に見つかった。

「何してんの?」
「...」
硬直しながら、顔だけをゆっくり後ろに向ける。
「見てたのは知ってるよ」
「気付かれてたの...」

暫く気まずい雰囲気になり、
二人とも黙り込む。
そこで、愛子は思い出した。
次に会ったとき佳夢に思いを伝えると、
一時間ほど前に決意したことを。

こんな時に言うのもどうかと思ったが、
一度決めたことをあきらめるのは、
何か違うと、愛子は思った。
だから、息を呑んで、愛子は喋りだす。

「佳夢君!あのさ——」
「わかってるから」
愛子は突然、佳夢がそう言ったので、
頭が真っ白になり、
言おうとしていたことが全部飛ぶ。

まさか、佳夢も同じことを思っていたのか——。
一瞬、そんな歓喜にも包まれたが、
「今度、ちゃんと話すから」
そう言って佳夢はこちらに歩いて来て、
愛子の肩をポンと叩いた。
「だから、変に探ったりすんなよ。あと、菜夢には話すな」

そう告げて、佳夢は歩き出す。
佳夢は恐らく、
電話していたことについて言ってるのだと、
愛子はその一瞬で悟った。
確かに電話している佳夢は怪しげであったが、
愛子は佳夢を疑ってるわけじゃなかった。

「——佳夢君のバーカ!」
思わずそう叫んでしまった。
曲がり角の奥に消えようとしていた佳夢が立ち止まり、
驚いた表情でこちらを振り返る。

愛子はそれ以上何も言わず、
佳夢とは反対側の方へ走り出す。
佳夢は訳も分からず、
立ちつくしているだけだった。