複雑・ファジー小説

Re: 【オリキャラ募集中!】鎌奈家の一族【是非見てね!】 ( No.276 )
日時: 2013/03/11 22:49
名前: 純金リップ (ID: AO7OXeJ5)
参照: キョウリュウジャー面白い

「あーあ、この天然バカ」
何処からともなく湧いてきた声に、
佳夢は不快感を覚える。
「なんだよ。涼太」
佳夢を煽るようにして登場したのは、
水音寺涼太だった。

普段は遠くに住んでいて、
刻夢の事件の際、
こちらに帰省していて、
一度戻ったのだが、
再び鎌奈家へとやって来ていた。

「お前ってばホント天然バカだな」
「なんだよ。とっとと帰れよ」
「あれ?俺今関係ないよね?」

佳夢と涼太は同い年なので、
互いに遠慮しない言い合いが出来る。
「全く、もうちょっと愛子ちゃんの期待に応えてあげれば?」
「何のことだ」
「...言っちゃっていいのかな」

涼太にしては珍しく言葉に詰まり、
佳夢も気になる。
「いいから、早く言え」
「別にかまわないけどよ。あ、でも俺の妄想って可能性も」
「いいから言えよ!」
じれったくなって、佳夢は涼太のすねを蹴る。

「いってえ!この野郎!なにすんだよ!」
右脚のすねを押えながら、
涼太は涙目になる。
「もういい!絶対言わない!」

涼太は右脚を庇いながら、
逃げるようにして去っていった。
「...」

涼太の言いたい事は、
実は佳夢は大体分かっていた。

愛子は、ここ最近おかしかった。
その原因が自分にある事は百も承知で、
佳夢もそのことについてちゃんと悩んでいた。

佳夢が留理を連れて外に出た時、
愛子があの商店街にいたことは、
知り合いから少し聞いていた。
恐らく、手をつなぐところを見られた。

それに、咲がおふざけで、
佳夢に言い寄ってるところも見られ、
完全に愛子を勘違いさせた。

なんと女にだらしない奴だと、
愛子からそう見られているに違いない。

だが、愛子は佳夢を嫌ったわけはないのだろう。
現に普通に接してくれてるし、
それは確実である。

それだけなら、問題はないはずだ。
しかし、愛子が怒ったのには理由がある。
佳夢も決して完全に鈍いわけではない。
「だからこれは...」
色々な事を考え、頭の中で結論を出す。
この間わずか十秒。

縁側に座り込み、
重いため息をつく。
「まだいたか」
後ろから背中を蹴られ、
顔を上げると、背後に涼太が立っていた。

「なぁ、涼太。俺でも一応考えたよ」
「結論は?出たか?」
「ああ。でも、自分では言いたくないね」
「じゃあ、答え合わせしてやるか?」
「頼む」
涼太は少し間を置いてから言った。

「愛子ちゃんは、お前の事が好きなんだよ」

佳夢は数秒固まって、
そのままうなだれる。
自分でも顔が赤くなってくのが分かる。
「合ってたか?」
「言わん」
「あ、そう」

たとえ相手が誰だろうと、
「合ってた」などと言えない。
それが答えなら、
佳夢はわざとでなくとも、
愛子にあんな事を言ったのを謝り、
ちゃんと言わなければならない。
自分も好きだと言う事実を。

「言っとくけど、俺の推測だから、アテにするなよ」
隣に座って、涼太が言う。
「アテにさせてもらうよ」
涼太は何も言わず、
佳夢の背中をポンと叩いた。