複雑・ファジー小説

Re: 【オリキャラ募集中!】鎌奈家の一族【是非見てね!】 ( No.278 )
日時: 2013/03/12 22:14
名前: 純金リップ (ID: AO7OXeJ5)

「どうしてこんなことに...」
鎌奈家の一番大きい和室の前で、
星野紅介は憂いていた。

大きな負傷をした鎌奈家の大黒柱達は、
急きょ駆け付けた恵人の手によって治療されている。
恵人に任せていれば、心配はない。

そして彼らが倒れていた和室には、
紅介しかいなかった。

この事件に関しては、
警察を呼ばないことにしている。
警察に知られたら、面倒なことになるからだ。
紅介は警官であるが、
それについては黙認している。
紅介自身も、事を大きくしたくない。

鎌奈家と天都家は過去からの因縁があった。
それは紅介も重々承知している。
だが、最近はその仲がさらに悪化してるようにも見える。
いや、実際そうなのだ。

「どうしたんですか、紅介さん」
後ろから声がして、
振り返ると、和室のドアが開いていて、
佳夢が立っていた。

「こりゃ、誰かと思ったらお前か」
普段のテンションを崩さぬよう、
佳夢に笑いかける紅介。
だが佳夢には見抜かれてるようで、
表情を変えない。

「これから...、どうします?」
佳夢の唐突な質問に、
紅介は戸惑う。
「...そうだな。やはり、このままじゃ殺人に発展しかねんし、
いつかは、彼らとも話し合いをしなきゃいけない」
「でも、目的が分かりません。只の嫌がらせって可能性も——」
「佳坊」

いつもと変わらぬ呼び方で、
しかし、少し違う声の雰囲気で、
紅介は佳夢を呼ぶ。
「俺はお前が原因なんじゃないかって思ってる」
佳夢は顔色一つ変えず、
それを聞いていた。

「お前は、昔からトラブルメーカーで、んでもって、刺激的で、
さらに女にモテて、まるで、神に愛されてる——主人公みたいだ。
俺は警察という職業柄、あまり非科学的なのは信じないが、
しかし、佳坊。お前は何か持ってるよ。やっぱり」
佳夢も、全く同感、というわけじゃないが、
だが、なにか変だとは感じていた。
それは自意識過剰というわけじゃなく、
率直な感想なのだ。

「だから、今回もお前が関係してるんじゃ——
あ、いや、責めてるわけじゃないんだ」
「確かに、そうかもしれませんね」
佳夢の態度はいたって冷静だった。

数秒沈黙が続き、
紅介は次の言葉を探していた。
「紅介さん。俺、心当たりないわけじゃ、ないんです」
「!?なに!本当か!」
わらにもすがる思いで、紅介は詰め寄る。
この騒動を早く鎮めたいと言う思いが、
紅介のどこかにあったのだ。

「俺が——、小学三年生の時。いつも公園にいるお姉さんがいました」
佳夢は、何かを思い出す様に上を向く。
「確か、八つぐらい年上だったかな」
「そ、その女の人がなんだっていうんだ?」
「いや。こっからはあいまいなんですけど——
その女の人、確か『夕子』って名前だったんです」