複雑・ファジー小説

Re: 【オリキャラ募集中!】鎌奈家の一族【是非見てね!】 ( No.280 )
日時: 2013/03/18 22:58
名前: 純金リップ (ID: AO7OXeJ5)

帆花に連れていかれ、
居間へと佳夢はやってきた。
そこに、何人か人がいて、
佳夢はやりにくいながらも、
真夢から渡された受話器を取る。

「もしもし」
『こんにちは、佳夢君』
「あんたが、夕子さんか」
『そうだよ。久しぶりだね』

夕子は受話器の向こうで笑いかけるように言った。

『嬉しいねー。久しぶりに会えて。
でも、こんな形じゃ、あんまり喜べないね』
「やっぱり、あなただったんですね。あの時の人は」
『そうだよ?あれ?気付かなかった?
一応、貴弘君にちゃんと言わせたんだけど...』

一体何が目的なのか。
いよいよ分からない。

「何が、目的なんですか?」
『えーっと、はっきり言うね。鎌奈家の滅亡』

夕子が言ったその言葉は、
実質鎌奈家にとってはとても重い一言で、
相手にしてみたらどうかはわからないが、
佳夢はものすごい寒気を感じた。

『あー、えっと、精神的に潰すとかじゃないよ。
この世から完全に消し去る、って意味で』
受話器から漏れ出した音が何人かにも聞こえたのか、
居間が少しざわつく。

『ほら、鎌奈家と天都家には昔からの因縁があるじゃん?
私達、別に気にしてない、ってわけじゃないんだよねー』
しかし、佳夢はそれが嘘だと信じたかった。
紘一の葬儀の時、葬儀に来た天都家の人々は、
その因縁を気にしていない様子だった。
あれがもし、嘘をついていたのなら、
敵ながら天晴の名演技だった。

『だから、まずは、そうだな——。あ、この愛子って女の子を』
「殺す」
『...え?』
気付けば佳夢は、
受話器に向かって
怒気を込めて言っていた。

「お前らがそのつもりなら、他の鎌奈家は知らないが、
俺はそのつもりだ。アンタも殺す。皆殺す」
殺人鬼をやめてから、
短気な性格は直したつもりだったが、
今もその片鱗がある事に、
佳夢は心底呆れる。

「殺すだ?ふざけんな。殺されるぐらいなら、こっちから殺す」
『警察とか、呼ばないんだね』
「——それはどうだろな」
一瞬考えてから続ける。
「うちには現職の警察官がいるし——」
『でも、そのおまわりさん、ちゃんと使い物になる?』
「は?」

『もしかして、部屋に置き去りにしてたりしない?』

佳夢はハッとして、あたりを見渡す。
紅介の姿がない。
「真夢、持ってろ!」
受話器を真夢に押し付け、
佳夢は走り出した。

『あーあー、佳夢君行っちゃった』
受話器の向こうで、夕子は
楽しそうに笑った。