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複雑・ファジー小説
- Re: 【オリキャラ募集中!】鎌奈家の一族【是非見てね!】 ( No.281 )
- 日時: 2013/03/18 23:23
- 名前: 純金リップ (ID: AO7OXeJ5)
「紅介さんッ!!」
和室のふすまを勢いよく開けると、
まず視界に入って来たのは、
床に倒れた紅介だった。
そして、頭部から流れ出す血。
佳夢は紅介に近づきながら、
部屋を見回す。
中には誰もいないようだ。
「紅介さん!しっかりして!」
倒れている紅介の上半身を起こし、
佳夢は何度も呼びかける。
すると、紅介はうっすら目を開け、
佳夢の方を見た。
「佳...坊...」
「紅介さん!大丈夫です!今、恵人さんが——」
「いや、佳坊、聞いてくれ」
今にも消えてしまいそうな声で、
紅介は言った。
「俺が...、もしも...死んだなら」
佳夢は黙って続きを聞く。
後ろから誰かが駆けつけてくる音がする。
その音に負けじと、紅介は頑張って声を張った。
「琥珀と、白美と、碧子を...」
「紅介さん!駄目だ!死ぬなって...」
涙がこみ上げてきた佳夢の目に、
紅介の腹部に置かれた、
一枚のカードが見えた。
それは、只の白いカード、
かと思いきや、
裏面に赤い字でこう書いてあった。
『今宵はいい夢を
——十九番目の〝太陽〟天都夕子と、
虐殺師こと、零番目の〝愚者〟天都長司より——』
悲しみと同時に怒りがこみあげてきて、
同時に、夕子は電話をしながらここで長司と共に紅介を襲ったのだと
気付いて、してやられたことを思い知る。
やがて後ろに恵人の声が聞こえ
佳夢はその場を離れる。
おぼろげな足取りで、
庭へと向かっていた。
いったい、今日だけで何人被害に遭ったのだろう。
これは、戦争なんかじゃないのに。
なぜ、こうなってしまったのだろう。
佳夢は、分からなくて泣いた。
もうこうなってしまった以上は取り返しがつかなく、
鎌奈家と天都家、どちらが生存する道も見えず、
佳夢は、単に今の状況に、
絶望することしかできなかった。
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