複雑・ファジー小説

Re: 【オリキャラ募集中!】鎌奈家の一族【是非見てね!】 ( No.286 )
日時: 2013/04/16 22:50
名前: 純金リップ (ID: AO7OXeJ5)

改めて向かい合ってみると、
その人物と愛子は、
呆れるくらいに似ていた。
一体彼女は何者なのか。
そう考えながら、愛子はご飯を口に運ぶ。

「うん。やっぱり自分で作るご飯は美味しいね」
女性はなんどもそのようなコメントを繰り返し、
自分で作った朝ご飯をほめたたえた。
「ん、そういえば、まだ名乗ってなかったね。私は『夕子』」
「夕子——さん?」
「そうだよ。まだ苗字は秘密だけど」

とは言っても、バレバレだったし、
夕子自身も愛子は勘付いているだろうと、察していた。
「あ、天都家の人ですか?」
恐る恐る、愛子は尋ねてみた。

「...正解!やっぱり気づいちゃう!?だよねー」
箸をカチカチと鳴らしながら、
夕子は笑う。
「あの、私なんでこんなところにいるんですか?」
「それは——今は言えない。まぁ、後で言うよ」

大きな皿に乗ったベーコンをかじり、
愛子は横目でテレビを見る。
朝のニュース番組に表示されているのは、
8時10分だった。
それに、日付は愛子が気を失った日の、
翌日と考えて間違いないらしい。

「あ!妹ちゃん左利きなのね!私もなの!」
夕子はまるで、四葉のクローバーでも見つけたかのような、
幸せそうな笑みを浮かべる。

「...あの。夕子さん。その、妹ちゃんって...」
「え?」
「なんで、妹ちゃんなんですか?」
「だって、私の妹でしょ?」
「はい?」

愛子は驚きのあまり箸を机に落とした。
「そうでしょ?私にそっくりだし」
「いやいや、私に姉はいませんし、いたとも両親は言ってませんでしたよ?」
こういう時に冷静に反論できるのは、
鎌奈家のおかげであると、
愛子はまだ気づいていない。

「果たして——本当の両親なのかな?その人たち」
「えっ?」
「ていうか、愛子ちゃんの両親って、本当に死んだの?」
流石に、わが耳を疑った。
愛子は夕子の言ってることの意味が分からず、
夕子の浮かべる優しくもどこか恐怖の混じった笑みに、
当惑していた。

「ごめんごめん。今のは流石に嘘。うん。妹ちゃんの両親は死んだよ」
「...」
あっけらかんな夕子の態度に翻弄され、
額から汗が湧き出ているのに気付いた愛子。
本当に言われなければどこまでが嘘か分からない。
こんな時に、佳夢に会いたいと、
彼女は思うのだった。