複雑・ファジー小説
- Re: 【オリキャラ募集中!】鎌奈家の一族【是非見てね!】 ( No.305 )
- 日時: 2013/08/20 22:56
- 名前: 純金リップ (ID: /gz88uq5)
菜夢と佳夢の様子を影から見ていた咲と裏夢と九六は、
どうやら佳夢が落ち着いていることに、胸をなでおろした。
「...まぁ、どうやらちょっとは戻ったかな、佳夢君」
「そうですね。なーちゃんも、もう首突っ込んだりはしないだろうし」
「...安心」
「何そこでみてるんだお前ら」
「ヤベッ、ばれた」
しかし、それでも佳夢は天都家——主に夕子や長司への、
復讐の考えは捨ててはいなかった。
今までの素行からして殺してやりたいほどだが、
それは我慢しなければいけないので、
難しい所ではあった。
「どうしたんだい。そんなに眉をひそめちゃって」
「ん...、クロか」
腕組みしながら廊下を歩いていると、
前にはクロが立っていて、その手には何やら紙の束があった。
「なんだ?」
「コレ、あげるよ。本当は菜夢ちゃんに頼まれたものだけど」
「ん?」
何が何だかわからぬままクロに紙を渡された佳夢。
「押崖愛子ちゃんが監禁されている場所について書かれている」
「あぁ...。いや、俺はいいや」
そう言って佳夢は、紙をクロに返そうとするが——。
「私に無駄働きをさせるつもりかい?君の性癖はとっくにばれてる」
「...ありがたくうけとっておこう」
紙を丁寧に畳み、佳夢は部屋へと持ち込んだ。
「——三丁目のアパートか...。結構近所じゃないか」
「そうだねー」
「お前は何でいるんだ、真夢」
いつの間にか部屋についてきた真夢を、
佳夢は横目でにらみつける。
「わざわざ同じ椅子に座るな。狭い」
「えへへ。でも胸当たるでしょ?」
「お前にそんなもんねーよ」
「近頃のお兄ちゃんは口が過ぎるよ...」
仕方なく真夢は椅子から降り、佳夢のベッドに腰掛けた。
「そこに座っていいとも言ってない」
「じゃあ私が椅子になるけどいい?」
「近頃のお前は口が減らないな。...いや昔からだ」
紙の二枚目を見てみると、
そこには、押崖愛子が生きていると、
そのような旨の事が書いてあった。
「...ふうん」
佳夢は椅子から立ち上がり、真夢をベッドから退かし、
ベッドの上に倒れ込んだ。
「あーあ、疲れた」
「愛子さん探さなくていいの?」
「うん。すぐにでも行きたい。けど、なんか安心しちまってな...」
仰向けに寝ると明かりがまぶしいので、
佳夢は腕で目を覆い、光を遮る。
「よかった...生きてて...」
その仕草は、泣いているのを隠しているようにも見えた。