複雑・ファジー小説
- Re: 【早速オリキャラ募集中!】鎌奈家の一族 ( No.43 )
- 日時: 2012/08/05 00:22
- 名前: 純金リップ (ID: EfKicuSN)
爽やかな風が咲の頬をなでる。
起き上がってみると、すでに日が昇っていた。
どうやら、朝になったらしい。
覚えているのは現在寝ている縁側で、斧間と話していたこと。
寝ぼけ眼を擦り、大きな欠伸をする。
時刻は七時。
五時間ほど寝ていたらしい。
まあ、昨夜寝れなかった分の埋め合わせとしては十分だ、
と、彼女は思った。
そして、彼女が部屋に戻り寝なおす頃。
佳夢は起きた。
今日は土曜日であった。
と、同時に佳夢が今会いたい人物の帰る日だった。
午前十時。
その人物の到着を待ち遠しく思いながらベランダにて
一人チェスで暇を持て余していると、反対側の椅子に菜夢が腰を掛けた。
「随分暇なのね、佳夢兄さん。」
「お前はずいぶん忙しいよな。」
「ええ。佳夢兄さんを言いくるめるのに必死よ。」
「隠す気もないのな...。」
溜息をついて、目の前のチェスをどける。
「どう言われようが、お前らに手伝わせる気はないからな。」
「どう言われようと、佳夢兄さんに負ける気はないからね。」
佳夢と菜夢は互いに睨み合う。
その時、家の玄関が開く音がした。
「ただいまー!」
威勢のいい帰りのあいさつが聞こえてくる。
「お、来た来た。」
佳夢は玄関へ駆けつける。
そこにい居た人物こそ、佳夢の待っていた人物である。
星野紅介。
四十三歳。男。叔父。警察官。水瓶座のA型。
今までの関わった事件、二百四十七件。逮捕率、99%。
一族きっての熱血漢。
「おう、佳坊!元気だったか!」
「こんにちわ、紅介さん。」
「うむ。少し見ないうちに大きくなったな。
あ、どうだ。うちの息子たちは。やんちゃしてねえか?」
「白美は、まあ大丈夫ですけど、琥珀にはお手上げですね。」
言って、佳夢は肩をすくめる。
「むう、そうか。親としてちゃんと言って聞かせんとな。」
「それより、紅介さん。」
「ん?あぁ...。そうだったな。約束の物、持ってきたぜ。」
紅介は鞄からファイリングされた何かの資料を取出し、
佳夢に渡す。
佳夢はそれが何かわかっていた。
「助かります。」
「いやいや。いいって事よ。でも、佳坊。無理はすんなよ...。」
「ええ。それは散々言われてます。」
「そうか。ならいい。」
頷いて紅介は、中へ入っていく。
紅介が去った後、佳夢は紅介から渡された資料を開く。
それは、紅介が調査した虐殺師についての資料だった。
佳夢はそれを見つからない様、部屋で読んでいた。
菜夢や権砕に見つかりでもしたら困るので、自室が一番適している。
内容は過去に虐殺師が起こした事件について。
やったことは三、四件であっても、
被害者数が半端じゃない。
それが虐殺師。
まず、最初の事件。
それはタイトルをつけるならば「大手家電メーカー社員連続殺人事件」
と、名付けるにふさわしい(ネーミングセンスがないとかは言わないでほしい。)
まず、殺されたのがその会社のお偉いさんだったりするので
警察は会社の上層部に恨みを持っていた者だと考えていた。
が、そんな矢先。
その事件の一か月前にその会社に就職した若い社員が殺された。
その後も次々と不定期に、不規則に殺された。
死に方は様々だが、それも虐殺に値するような死に方であった。
ある一人は手足を縛られ、ずたずたに切り裂かれて死亡。
ある一人は睡眠薬を投与され、銃で数十発撃たれ死亡。
死体は見るに堪えないものであった。
その後も三件。
組織や名門家を狙うという、連続殺人事件が起こっていた。
「おい、佳坊。」
部屋の外から声が聞こえた。
「入っていいか。」
「はい。どうぞ。」
そう言うと、同時にタンクトップの紅介が部屋に入ってきた。
「どうだ。なにか掴めたか。」
「さあ...。」
佳夢は一旦資料を閉じた。
「しかし、お前何故そんなものを借りたんだ?
犯人は、お前の知らない奴かもしれないのに。」
「...いえ、俺は違うと思います。」
「何?」
「はっきり言って、今回の殺人は何かおかしい。」
「なにが?」
「殺害方法。」
「この事件の被害者は全員動けないように何かされていた。」
「あぁ。そうだな。」
それは拘束であったり、睡眠薬だったり。
「でも、彩奇さんはそんなことされていなかった。」
「...あぁ、そうだった。」
「覚えてなかったんですか?」
「うん。いやあ、物覚え悪い方だから、俺。」
それ位覚えてろよ、と言いたくなるが、何とか抑える。
「でも、それは確かに変だな。
それならば、彩奇は悲鳴を上げることも逃げることもできたはず。」
「ええ。でも、彩奇さんが逃げた跡もない。悲鳴を聞いた人もいない。
だから、変なんです。」
佳夢は頭の後ろで手を組む。
「そんで、俺が辿り着いた推理がですね。」
「...。」
「犯人は、この家の誰かなんじゃないかって思いまして。」