複雑・ファジー小説

Re: 【早速オリキャラ募集中!】鎌奈家の一族 ( No.5 )
日時: 2012/08/14 13:32
名前: 純金リップ (ID: EfKicuSN)

続いて佳夢は地下へと向かった。
地下への階段はこれでもかという程長く、
段々降りるのが面倒になる。

地下室の扉の前で立ち止まる。
明かりひとつないが、何回も来ているので見えなくともわかる。
扉をゆっくり開く。

その瞬間。
きらりと光る刃が佳夢の目の前をギリギリの距離で通過した。
「うおっ!」
思わず後ろにのけぞり尻もちを突く。
そして、ある少年の姿が視界に入る。
「あ。お久しぶりです。佳夢さん。」

斧間陣呉。
十六歳。この時まだ十五歳。男。従兄弟。高校生。水瓶座のB型。
体にある傷の数、四十七。今まで戦った回数、百七十六回。
一族きっての凄腕剣士。

一見普通の学生だが、腕や首にある傷が陣呉が立派な剣士であることを物語っていた。
「どうしたんですか?」
「いや...、まぁ、相談。」
「そうですか。」とそつなく返事をし陣呉は佳夢に背を向ける。
彼の向かう先には一本の丈夫そうな鉄柱がたてられていた。
しかし、陣呉がそれに触れるや否や、その鉄柱は音をたてて崩れた。

陣呉は生まれて三カ月で剣を持ち、その才能を開花させた。
陣呉自身は才能でなく努力の賜物だというが。
彼の戦闘能力は並み外れた物で、それを才能と言わずして、
何というのだろう。

佳夢は地下室に入りその場にあった岩に腰を掛ける。
地下室と言っても中は洞窟みたいで、
しかし、電気も引いてあるというとても便利な部屋だ。

暫く陣呉の特訓を見学し、佳夢は話を切り出した。
「あのさ、陣呉。『虐殺師』って知ってる?」
「虐殺師...?」
陣呉の動きが止まった。
「知ってますよ。」
陣呉は相変わらず表情を変えず答えた。