複雑・ファジー小説

Re: —神達の冒険記 ( No.7 )
日時: 2012/08/02 17:33
名前: ガリュ (ID: yycNjh.Z)

 〜1話 『神の子、アルフォンス』【2】

 黄色い月が町を照らす。人通りは少なく、家と街灯の灯りが道を月とともに照らす。

アンドレアは家の鍵を開けるとアルフォンスを家の中に通して電灯をつけ、ドアをパタンと閉める。家の中はきちんと掃除もしてあり本や食器はしっかりと棚におさめられていた。

「私一人暮らしなの。家族は弟以外死んじゃったの。弟はこの町にいるけど別居してるの。あ、椅子に座ってて。トイレはそこのドアだから。私は着替えてくるから。」

そう言ってアンドレアは奥の部屋へ入っていった。リビングに残されたアルフォンスは立ったまま部屋中を見渡した後、落ち着かないがソファに座ってみることにした。

「ふむ…。中々いい部屋ではないか。」

シャインはそう言うとソファで跳ねて遊び始めた。アルフォンスの注意にも耳をかさず、今度は部屋のなかを飛び始める。

「こら、人の家の中で遊ぶなよって言ってるだろ!」

そう言うとシャインは何かを見つけたように本棚にとまった。アルフォンスが不思議そうに近づくとシャインは青色の太い本を引っ張り出した。その本は『魔物狩り』と題されていた。

「こんな本を何故…?」

アルフォンスは驚きながらもその本をパラパラと捲ると本にはさんであったらしく一枚の紙がひらひらと床に落ちる。

「なんだこれ…?」
アルフォンスが紙を見ると魔法陣のようなものがかかされてあった。すると足音が聞こえてきたためアルフォンスは本に紙をはさんで本を元あった場所に戻す。それとともにガチャッとドアが開き、赤い服に着替えたアンドレアが現れた。

「ごめんね、今から御飯を作るわ。」
「あ、うん。有難う。何か手伝おうか?」

アルフォンスはそう聞くとアンドレアはいいから、いいからと無理矢理アルフォンスをソファに座らして部屋を後にした。

シャインはアンドレアが行ったのを確認すると話し始めた。

「さっきの魔法陣は魔物を撃退するためのものだ。あれは特に力が強い。」
「魔物を撃退するために…か。」

何に使うのか考え込むアルフォンス。すると考え込んでいる中、シャインはテーブルの引き出しを勝手に開ける。すると引き出しの中から紐で結ばれた紙があった。シャインは勝手に紐をといてみる。とめるアルフォンスもお構いなしに…。紙に書かれたことを読むとアルフォンスは愕然とした。

紙に書かれていることはこうだ。
『  お前らの家の若い娘は発狂の崖に13年めの最初の星と月が一番輝く日に連れて来い。こなければ全員食い殺す。』という内容だ。

「13年目って…嘘だろ…!?明日が星と月が輝く日じゃないか…。そんな…。」

アルフォンスは震える体を抑えて手紙を読んでいた。アンドレアがこの部屋に近づいているということを知らずに…。